テニスショップの棚に並ぶ色とりどりのラケット。スペック表を眺めて「フレーム厚 22mm」や「ボックス形状」という文字を見ても、それがコート上で自分のプレーにどう化けるのか、イメージするのは至難の業ですよね。
実は、ラケット選びで最も打球感とパフォーマンスを左右するのは、ストリング(ガット)でも重さでもなく「フレームそのもの」です。今回は、テニス歴20年の私が実際に数多のラケットを使い倒して感じた「フレームの真実」を、カタログスペックの裏側にある「生の体感」と共にお伝えします。
【体験談】フレーム厚が1mm変わるだけで、テニスは別物になる
テニスラケットのフレーム厚は、車で言えば「エンジンの出力」と「サスペンション」を同時に決めるようなものです。
薄いフレーム(22mm以下:通称「薄ラケ」)の快感と落とし穴
私が初めてWilson プロスタッフのような薄ラケを手にした時、真っ先に感じたのは「ボールの重み」でした。
- 体感: インパクトの瞬間、フレームが一瞬しなってボールを「グシャッ」と潰し、自分の手のひらで押し出しているような濃密な感覚があります。
- メリット: 「アウトするかも」という不安が消え、狙ったライン際にボールが吸い込まれるコントロール性能は快感そのものです。
- 失敗談: しかし、試合の後半で体力が削られると地獄を見ます。スイートスポットを数ミリ外しただけでボールが全く飛ばなくなり、ネットにかかる。腕への衝撃もダイレクトに来るため、無理に飛ばそうとして肘を痛めたこともありました。
厚いフレーム(26mm以上:通称「厚ラケ」)の魔法
逆にBabolat ピュアドライブなどの厚みのあるフレームに持ち替えた時は、驚きしかありませんでした。
- 体感: 軽くラケットを置くだけで、ボールが勝手に「パンッ」と弾き返されます。まるで見えないバネが内蔵されているかのよう。
- メリット: 差し込まれたボールでも、手首を返すだけで深い返球ができる。守備力が格段に上がります。
- 失敗談: テンションが上がってフルスイングすると、ボールがどこまでも飛んでいってしまいます。ドロップショットなどの繊細なタッチが必要な場面で、ボールを「弾きすぎてしまう」感覚に慣れるまで時間がかかりました。
「ボックス」vs「ラウンド」:振った瞬間にわかる断面の秘密
フレームの断面形状も、打球感を左右する大きな要素です。
1. 職人気質の「ボックス形状」
断面が四角いこのタイプは、昔ながらの「しなり」を重視しています。
私がHEAD プレステージを使っていた頃、低い打点からスライスを打つ際の「粘り」は唯一無二でした。フレームが一度たわんでから戻るまでの時間が長く、ボールを操っている実感が強く得られます。
2. 近代テニスの象徴「ラウンド形状」
断面が卵型のように丸みを帯びたタイプです。
YONEX VCOREなどのラウンド形状を振ると、まず感じるのは「空気抵抗の少なさ」です。スイングスピードが上がりやすく、カチッとした剛性感があるため、現代的なグリグリスピンをかけるのに適しています。
失敗しないための「プレイスタイル別」フレーム選び
私の20年の試行錯誤から導き出した、失敗しない組み合わせがこちらです。
| スタイル | 推奨フレーム | 選ぶべき理由(本音) |
| 強打ストローカー | 22mm以下の薄め・ボックス | 自分の力を100%ぶつけても、コートに収まる安心感が欲しいから。 |
| ボレー・守備重視 | 26mm以上の厚め・ラウンド | 相手の弾丸サーブを「当てるだけ」で返す魔法の力が欲しいから。 |
| 黄金スペック派 | 24-25mmの中厚 | 「迷ったらこれ」。DUNLOP FX500のようにパワーと制御のバランスが最高。 |
まとめ:試打の時に「ここだけ」は見よう
最後に、ショップで試打ラケットを借りる際、スペック表を見ずに以下の3点だけを感じてみてください。
- 「インパクトでボールが止まって感じるか、すぐ離れるか?」
- 「芯を外した時に、手が痺れるか、ラケットが助けてくれるか?」
- 「1時間の練習後でも、このフレームを振り切る体力が残っているか?」
スペックの数値はあくまで目安です。あなたの手のひらが感じる「フレームとの相性」こそが、最高の相棒を見つける唯一の正解です。
次は、実際に自分のスイングスピードを計測して、具体的なモデルを絞り込んでみませんか?


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