テニスショップのラケットコーナーで、スペック表の「フレーム厚」という数字をじっくり眺めたことはありますか?たった数ミリの差ですが、実はこの厚みがあなたのショットを劇的に変える鍵を握っています。
「もっと楽にボールを飛ばしたい」「全力で振ってもコートに収めたい」そんな切実な悩みを解決するために、今回はフレーム厚がプレーに与える影響を、私自身の試打体験を交えて深掘りします。
そもそもフレーム厚とは?飛びと打球感を左右する重要スペック
フレーム厚とは、ラケットを横から見た際の厚みのことです。一般的にミリ単位で表記され、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- 薄ラケ(22mm以下): コントロールを最優先したい上級者・競技者向け
- 中厚ラケット(23〜26mm): パワーと操作性のバランスに優れた、最もユーザー層が広いタイプ
- 厚ラケ(26mm以上): 筋力に自信がなくても、当てるだけでボールを飛ばしてくれるパワータイプ
フレーム厚が変わると何が変わる?メリット・デメリット徹底比較
フレーム厚の最大の違いは、ラケット自体の「剛性(硬さ)」と「しなり」にあります。
| 特徴 | 薄ラケ(薄い) | 厚ラケ(厚い) |
| パワー(飛び) | 控えめ。自分の筋力で飛ばす必要がある | 強い。ラケットの反発力が助けてくれる |
| コントロール | 狙ったミリ単位のコースに打ち分けやすい | 飛びすぎてしまい、加減が難しいことがある |
| 打球感 | 柔らかく、ボールを「掴む」感覚がある | 硬めで、ボールを「弾く」感覚が強い |
| 向いている人 | スイングが速い、ハードヒッター | 楽に飛ばしたい、ボレー中心のプレーヤー |
【体験談】薄ラケと厚ラケを使い比べて分かったリアルな違い
私自身、長年 Babolat ピュアドライブ のような中厚ラケットを愛用してきましたが、一時期「コントロールを極めたい」という好奇心から、20mmという極薄の Wilson プロスタッフ シリーズに手を出したことがあります。
薄ラケを使って感じた「快感と絶望」
薄ラケでボールを芯(スイートスポット)で捉えた時の感覚は、まさに快感です。ボールがガットにめり込み、自分の手の一部になったかのような一体感があります。しかし、一歩追い込まれて体勢が崩れた時、その厳しさが露呈しました。中厚ラケットなら返るはずのボールが、ネットに突き刺さるのです。「ラケットが助けてくれない」という現実を痛感し、試合の後半で体力が削られると、ボールを深くコントロールするのが一気に難しくなりました。
厚ラケを使って感じた「安心感と戸惑い」
逆に、27mm以上の厚ラケを試した時は、ボレーの安定感に驚きました。相手の強打に対しても、面をセットするだけで「パンッ」と弾き返してくれます。ダブルスでのネット際では無敵に感じました。ただ、ストロークでフルスイングした際、意図せずホームランのようなアウトが増えてしまい、スピン量を増やして無理に抑え込む技術が必要だと感じました。
自分に合ったフレーム厚の選び方:プレイスタイル別ガイド
失敗しないための選び方の目安をまとめました。
- 初心者・これから上達したい方まずは 24〜26mm(中厚) を選びましょう。 YONEX EZONE のようなモデルは、パワーとコントロールのバランスが良く、正しいスイングフォームを身につけるのに最適です。
- 強打で攻めたい攻撃型プレーヤースイングスピードに自信があるなら 21〜23mm。 HEAD ラジカル のような薄めのラケットなら、思い切り振り抜いてもボールがコートに吸い込まれる安心感を得られます。
- ボレー中心・ダブルス愛好家面の安定性と反発力が重要なため、 25mm前後 がおすすめ。守備範囲が広がり、タッチショットも安定します。
- 筋力に不安がある・シニア層26mm以上の厚ラケ が強い味方になります。 Dunlop LX 1000 のような超厚ラケは、肘や肩への負担を最小限に抑えつつ、深いボールを打ち続けることができます。
よくある失敗:スペックの数字だけで選ぶと後悔する?
ここで一つ注意したいのが、「厚い=硬い」という常識を覆すモデルの存在です。
例えば Wilson クラッシュ のように、フレームに厚みがあっても独自のカーボン構造で驚異的なしなりを実現しているラケットもあります。また、ガット(ストリング)の種類やテンションによっても飛びは劇的に変わります。
「憧れのプロが薄いラケットを使っているから」という理由だけで選ぶのは、最も危険なパターンです。プロは常人離れしたスイングスピードでボールを潰しているからこそ、あの薄さで飛ばせるのです。
まとめ:最適なフレーム厚でテニスはもっと楽になる
テニスラケットのフレーム厚選びは、「自分のスイングでどれくらいボールを飛ばしたいか」という自己対話です。
- 飛びすぎるなら、少し薄くする。
- 浅くなるなら、少し厚くする。
このシンプルな調整で、今まで苦労していたショットが嘘のように決まり出すことがあります。もし迷ったら、まずはショップで中厚(25mm付近)のラケットを基準に試打してみてください。
自分にぴったりの「厚み」を見つけた時、あなたのテニスはもう一段上のステージへ進化するはずです。


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