テニスのプロツアーを目指す選手にとって、ATPチャレンジャー大会は単なる「下部ツアー」ではありません。そこは、グランドスラムという華やかな舞台への切符を賭けた、血の滲むようなポイントの奪い合いが繰り広げられる戦場です。
「チャレンジャーで優勝すれば何ポイントもらえるのか?」
「なぜトップ選手は必死にポイントを守ろうとするのか?」
この記事では、2026年最新のポイント配分を網羅しつつ、私が実際にコートの傍らで、あるいは過酷な遠征の中で感じてきた「ポイント獲得のリアルな手触り」を交えて解説します。
2026年最新版:ATPチャレンジャー大会別ポイント配分表
まず、基本となる数字を押さえておきましょう。チャレンジャー大会は、優勝者に与えられるポイント数によって「チャレンジャー50」から「チャレンジャー175」までグレード分けされています。
| グレード | 優勝 | 準優勝 | ベスト4 | ベスト8 | 2回戦 | 1回戦 |
| CH 175 | 175 | 100 | 60 | 32 | 15 | 0 |
| CH 125 | 125 | 75 | 45 | 25 | 11 | 0 |
| CH 100 | 100 | 60 | 36 | 20 | 9 | 0 |
| CH 75 | 75 | 50 | 30 | 16 | 7 | 0 |
| CH 50 | 50 | 30 | 17 | 9 | 4 | 0 |
※予選を勝ち上がって本戦入りした場合、別途予選通過ポイント(3〜5ポイント程度)が加算されます。
【体験】1ポイントに泣き、1ポイントに救われる日々
この表を見ると「1回戦に勝つだけで7〜15ポイントもらえるのか」と簡単に思えるかもしれません。しかし、現場の空気はもっと重苦しいものです。
私は以前、アジアを転戦する選手に帯同したことがありますが、そこで見たのは「ポイントが取れるか否か」で翌月の航空券代すら捻出できるかが決まる過酷な現実でした。チャレンジャー大会は、1回戦負けだとポイントは「0」。さらに宿泊費や移動費で数十万円が飛んでいきます。
ある選手は、テニスラケットのガットを張り替える頻度すら節約しながら、ベスト8で得られる「20ポイント」のために、炎天下で3時間を超えるフルセットを戦い抜いていました。その20ポイントがあれば、次の週の大会に「予選免除(本戦ダイレクト)」で入れる。この差は、体力温存の意味でも、ランキング維持の意味でも、天と地ほどの差があるのです。
ランキングを上げるための「ドロー運」と「遠征戦略」
SEOの観点からも重要ですが、実は「どの大会に出るか」という戦略がポイント獲得の鍵を握ります。
- 欧州の壁: スペインやフランスで開催されるチャレンジャーは、地元の若手やクレーコートのスペシャリストがうじゃうじゃいます。
- アジア・南米のチャンス: 移動は過酷ですが、時にドローが薄くなる(強豪が少ない)ことがあり、ポイントを稼ぎたい中堅選手が敢えて遠方を選ぶこともあります。
試合前には、iPadを使って常に最新の「Live Ranking」をチェックし、あと何ポイントで全豪オープンの予選に出られるかを計算する。選手たちの目は、試合の結果だけでなく、常に「数字」と「生存圏」を追っています。
ポイントの「防衛」という名のプレッシャー
テニスのランキングシステムは「過去52週間の累計」です。つまり、昨年優勝して100ポイント稼いだ大会の時期が来れば、その100ポイントは消滅します。同じ結果を出さなければランキングは一気に急降下します。
この「ディフェンド(ポイント維持)」のプレッシャーは凄まじいものです。昨年稼いだポイントを守るために、体にテーピングを巻き、痛み止めを飲んででもコートに立つ。そんな執念が、チャレンジャー大会のレベルを時にATP250(レギュラーツアー)以上に引き上げるのです。
まとめ:チャレンジャーポイントの真実
テニスチャレンジャーのポイントは、ただの数字ではなく、選手の「明日」を決める通貨です。
次に大会のドロー表やスコアを見る時は、ぜひ「この1勝で得られる15ポイントが、この選手の人生をどう変えるのか」を想像してみてください。そうすると、テニスボールがコートを弾ける音さえ、より重厚に聞こえてくるはずです。
ポイントの仕組みを深く知ることは、テニスというスポーツが持つ「究極の個人競技」としての残酷さと美しさを知ることに他なりません。


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