テニスラケットを選ぶ際、フェース面積や重量、バランスポイントは必ずチェックするはずです。しかし、中上級者への階段を登るにつれ、どうしても無視できなくなる「裏の指標」があります。それが**RA値(剛性指数)**です。
カタログの隅に小さく書かれている(あるいは書かれてさえいない)この数値が、実はあなたのショットの威力や肘の健康を左右していると言っても過言ではありません。今回は、数値だけでは語れない「生の使用感」を交えながら、RA値の正体を解き明かします。
RA値とは?フレームの「しなり」を数値化したもの
RA値とは、一言で言えば**「フレームの硬さ」**を表す数値です。専用の機械でラケットに負荷をかけた際、どれだけ変形しにくいかを測定します。
一般的にテニスラケットのRA値は55〜75の範囲に収まります。
- 数値が高い(70以上): フレームが硬く、しなりにくい。
- 数値が低い(60以下): フレームが柔らかく、よくしなる。
しかし、ここで注意したいのは、RA値はあくまで「静止状態」での測定値だということです。実際にボールを打った時の「打球感」には、素材の復元スピードや最新の振動吸収テクノロジーが複雑に絡み合います。
【体験比較】高RA vs 低RA、コート上で何が起きるのか?
私が実際にRA値の異なるラケットを使い込んできた経験から、その決定的な違いをお伝えします。
高RAラケット(例:バボラ ピュアドライブなど)
「弾き飛ばす快感、スピードでねじ伏せるテニス」
初めてRA値70超えのラケットを手にした時、驚いたのはボレーの楽さです。当てるだけで面白いようにボールが飛んでいきます。ストロークでも、スイングスピードがそれほど速くなくても、フレームが変形せずにボールを弾き返してくれるため、スピードボールが容易に打てます。
- メリット: パワーが出る、サーブの初速が上がる、オフセンターでも飛ぶ。
- デメリット: 打球感が硬く、手首や肘にダイレクトに衝撃が来る。
低RAラケット(例:ウィルソン ブレードやヨネックス VCORE PROなど)
「ボールを掴む感覚、ライン際で落ちる安心感」
逆にRA値が60前後の「しなる」ラケットに持ち替えると、最初は「飛ばない」と感じて戸惑うかもしれません。しかし、フルスイングした瞬間にその真価を発揮します。ボールが一度フェースに吸い付くような感覚があり、自分の意思でコースをコントロールしている実感が持てます。
- メリット: ホールド感が強い、コントロール性能が高い、体への衝撃がマイルド。
- デメリット: 自分でしっかり振らないと浅いボールになりやすい。
RA値の罠:最新モデルは「数値」を裏切る?
最近のラケット開発は非常に巧妙です。例えば、RA値自体は高く設定してパワーを確保しつつ、振動吸収素材をグリップやフレームに内蔵することで、打ち手に「柔らかい」と錯覚させるモデルが増えています。
また、ストリングとの組み合わせも重要です。高RAのラケットに、さらに硬いポリエステルガットを高いテンションで張ってしまうと、板で打っているような衝撃になり、怪我のリスクが高まります。
あなたに最適なRA値の選び方
失敗しないための基準は、あなたの「スイングの完成度」と「求めるプレースタイル」にあります。
- 「楽に、速い球を打ちたい」ならRA68以上ダブルスがメインでボレーの反応を重視する方や、筋力に頼らず効率よく飛ばしたい方におすすめです。
- 「振り抜いて、コート内に収めたい」ならRA64以下自分からどんどん振っていきたいストローカーや、ボールを潰す感覚を重視する競技志向の方に適しています。
- 迷ったら「黄金スペック」のRA64〜67バボラ ピュアアエロのような、しなりと弾きのバランスが良いゾーンから試すのが最もリスクの低い選択です。
まとめ:RA値は「自分へのご褒美」か「修行」か
RA値を知ることは、自分のテニスを見つめ直すことでもあります。パワーを補ってくれるラケットを選ぶのか、あるいは自分の技術を最大限に引き出すコントロール機を選ぶのか。
スペック表の数値はあくまでヒントです。実際にテニスショップで試打をする際は、ぜひ「このラケットのRA値はいくつですか?」と聞いてみてください。数値と自分の感覚がリンクした時、あなたは最高の相棒に出会えるはずです。
次は、あなたのプレースタイルに合わせた具体的な「RA値別おすすめラケットリスト」をチェックしてみませんか?


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