「あれ、今どっちの面で持ってるっけ?」
テニスを始めたばかりの頃、あるいは新しいラケットに買い替えた直後、ふとそんな疑問を抱いたことはありませんか?結論から言うと、現代のテニスラケットの多くは物理的な構造に「裏表」の差はありません。しかし、多くの上級者やプロ選手は、明確に「自分なりの表」を決めてプレーしています。
単なる気休めと思われがちですが、実はこの「裏表の固定」が、ショットの安定感や道具への信頼感に直結するのです。今回は、マニアックな視点と実際の体験談を交えながら、テニスラケットの裏表の謎を解き明かします。
そもそも、なぜラケットの裏表を気にするのか?
テニスの試合前、サーブかレシーブかを決める際にラケットを回す「トス」を行いますよね。「アップ(正位置)」か「ダウン(逆位置)」かを選ぶあの儀式こそ、ラケットに裏表の概念がある最大の証拠です。
しかし、理由はそれだけではありません。実際に何年もプレーしていると、裏表を固定しないことで生じる「微細な違和感」が無視できなくなってくるのです。
グリップに「自分だけの型」ができる
最も大きな理由は、グリップの感触です。同じ面で握り続けていると、オーバーグリップ(ヨネックス ウェットスーパーグリップなど)が自分の指の形に合わせて絶妙に馴染んできます。
【体験談】
私は以前、裏表を気にせず適当に握っていました。しかし、ある日「今日はなんだかフォアハンドがしっくりこない」と感じ、ふとラケットを180度回してみたところ、驚くほど手にフィットしたのです。指の圧力がかかる位置でグリップがわずかに潰れ、自分だけの「型」ができていたんですね。それ以来、私は必ずロゴの向きを確認してから構えるようになりました。
誰でもできる!ラケットの裏表を見分ける3つのサイン
ラケットをパッと見て、どっちが「表」か瞬時に判断するためのポイントを紹介します。
1. グリップエンドのメーカーロゴ
最も一般的なのが、グリップの底にあるメーカーロゴ(ウィルソン テニスラケットやバボラ ピュアドライブなど)を確認する方法です。
- ロゴが正しい向きに見える状態 = アップ(表)
- ロゴが逆さまに見える状態 = ダウン(裏)これが世界共通の基準といっても過言ではありません。
2. ガットの結び目(ノット)の位置
ストリンガー(ガットを張る人)が最後に糸を結んだ箇所で見分ける方法です。
通常、結び目はフレームの片側に寄ります。「結び目がある方を自分に向ける」といったマニアックな決め方をしている人も少なくありません。
3. フレームの塗装とデザイン
最近では、左右非対称のデザインを採用したラケットも増えています。
例えば、ヘッド グラビティのように、片面が緑、もう片面が赤といったカラーリングであれば、一目で判別可能です。また、モデル名の印字が片面にしかない場合も、それが目印になります。
面を固定することで得られる3つのメリット
「どっちでも同じでしょ?」と笑うなかれ。面を固定することには、科学的・心理的なメリットが存在します。
① ルーティンによる集中力の向上
サーブに入る前、あるいはリターンを待つ間。グリップエンドを見て「よし、表だ」と確認する動作は、集中力を高めるスイッチになります。一流選手がラケットをクルクル回してパッと止めるのは、無意識に「自分の面」を探し当てているのです。
② 打球感の繊細な変化を察知できる
片面ばかりで打っていると、ガットの「ノッチ(交差部分の溝)」の入り方が一定になります。
【体験談】
「今日はやけにスピンがかかるな」と感じる時は、大抵ガットが適度に摩耗している時です。もし裏表を交互に使っていたら、この「ガットの育ち具合」が分散され、打球感のフィードバックが曖昧になっていたでしょう。道具の状態を正確に把握するには、面を固定したほうが有利だと感じます。
③ グリップテープの巻き直しタイミングがわかる
表を固定して使い込むと、親指が当たる部分だけがピンポイントで黒ずんだり、擦り切れたりします。これが「交換のサイン」として分かりやすくなるのも、隠れたメリットです。
「マイ裏表」を作るための小技:グリップテープの巻き方
自分なりの「表」を常に安定させるには、グリップテープ(ボウブランド グリップテープなど)を巻く段階から勝負が始まっています。
多くのプレーヤーは、ロゴが「アップ」の状態で、自分から見て右側の角から巻き始めます。こうすることで、巻き終わりのテープ留めの位置も一定になり、握った時の「手のひらへの重なりの当たり方」が常に同じになります。
まとめ:道具を「自分の身体の一部」にするために
テニスラケットに物理的な裏表はありませんが、**「精神的な裏表」**は確実に存在します。
自分の基準(表)を決めることは、単なる験担ぎではありません。それは、指先の感覚を研ぎ澄ませ、道具を自分の身体の一部へと近づけていく大切なプロセスです。
もしこれまで気にしていなかったのなら、次の練習ではぜひグリップエンドのロゴを正位置にして構えてみてください。その小さなこだわりが、あなたのテニスをより繊細で、精度の高いものに変えてくれるはずです。
「今日はどっちかな?」と迷う時間が、勝利への一歩に変わります。
さらにステップアップしたいあなたへ:
「自分の表」が決まったら、次はテニス 振動止めを付ける位置もこだわってみませんか?付ける面によって、さらに自分好みの打球感にカスタマイズできます。


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