「ガットを張る時、いつもなんとなく『50ポンド』で頼んでいませんか?」
テニスにおいて、ラケット選びと同じくらい重要なのがガット(ストリング)のテンションです。しかし、多くのプレイヤーが「自分にとって何が正解か」を知らないままプレーしています。テンションひとつで、あなたのショットは劇的に変わり、時には怪我の予防にも繋がります。
今回は、数々のガットを試し、試行錯誤を繰り返してきた筆者の体験談を交えながら、あなたに最適なテンションを見つけるための「答え」を解説します。
1. テンションが高い・低いで何が変わる?(比較表)
まずは、テンションによる性能の違いを整理しましょう。よく「トランポリン」に例えられますが、面が硬いか柔らかいかでボールの飛び方が変わります。
| 項目 | 高い(50ポンド〜) | 低い(〜45ポンド) |
| 飛び(反発) | 抑えられる(飛ばない) | よく飛ぶ(アシスト強) |
| コントロール | 狙った場所へ打ちやすい | 弾きすぎてバラつきやすい |
| 打球感 | 硬め・シャープ | 柔らかめ・マイルド |
| 体への負担 | 衝撃が大きく、肘にきやすい | 衝撃を吸収し、腕に優しい |
2. 【体験談】テンションを変えて気づいた「盲点」
数値だけでは見えてこない、実際にコートで感じたリアルな変化をお伝えします。
低テンション(40P台)の衝撃:「守備が格段に楽になった」
以前、私は「上手い人=高テンション」という思い込みで55ポンドで張っていました。しかし、45ポンドまで落とした時、目から鱗が落ちました。
オフセンター(芯を外した時)でもボールがネットを超えてくれるのです。深いボールを追い込まれて走らされた時、当てるだけでベースラインまで返るアシスト感は、一度味わうと病みつきになります。また、ヨネックス ポリツアープロのようなポリエステル素材でも、低めに張ることで独特の「食いつき」を感じ、スピンがかけやすくなるのを実感しました。
高テンション(55P以上)の真実:「暴発を防ぐ安心感」
逆に、パワー自慢のジュニア選手や、フラットドライブでガンガン攻めるタイプには高テンションが味方します。
「しっかり振り抜いてもコートに収まる」という安心感は、メンタルに直結します。ボレーのタッチもボヤけず、バボラ ピュアドライブのようなパワーのあるラケットでも、面がぶれずに繊細なドロップショットが決まる感覚は高テンションならではの醍醐味です。
3. 季節とテンションの重要な関係
意外と忘れがちなのが、外気温の影響です。
- 夏(暑い時期): ボールの中の空気が膨張し、飛びすぎる傾向があります。また、ガット自体も熱で緩みやすいため、通常より**「1〜2ポンド上げる」**のがセオリーです。
- 冬(寒い時期): ボールもガットも硬くなり、全く飛ばなくなります。無理に飛ばそうとして腕を痛めるリスクがあるため、**「2〜3ポンド下げる」**ことで、体への負担を減らしつつ飛距離を確保しましょう。
4. 自分に合うテンションの見極めフローチャート
今の設定が合っているか不安な方は、以下の手順で調整してみてください。
- まずは「48〜52ポンド」を基準にするこれが現代のテニスにおける標準的な数値です。
- ボールがバックアウトする場合コントロールが追いついていません。+2ポンド上げて、面を安定させましょう。
- ネットにかかる・腕が疲れる場合反発力が足りていません。−2ポンド下げて、ガットのたわみを利用しましょう。
- 素材による調整テクニファイバー エックスワン バイフェイズのようなナイロンから、ポリエステルに切り替える場合は、素材が硬い分、さらに5%〜10%ほどテンションを落とすのが「腕を壊さない」コツです。
5. 張り替え頻度の真実:切れていなくても「賞味期限」がある
「ガットが切れるまで使う」というのは、実は非常に危険です。
ガットは張った瞬間から「テンションロス(伸び)」が始まります。プロは1試合ごとに変えますが、一般プレイヤーでも**「3ヶ月」**が限界だと考えてください。
伸びきったガットは、いわば「死んだゴム」です。飛ばないから無理に力んで打つようになり、テニス肘の原因になります。ルキシロン アルパワーのような高性能なガットほど、性能の劣化は顕著です。定期的なメンテナンスこそが、上達への一番の近道です。
まとめ
テンション選びに「正解」はありませんが、「あなたにとっての最適」は必ずあります。
「最近ボールが飛ばないな」「腕が重いな」と感じたら、それはラケットのせいではなく、ガットのテンションが原因かもしれません。次にショップに行くときは、ぜひ「今の悩み」を伝えて、数ポンドの冒険をしてみてください。その一歩が、あなたのテニスを劇的に変えるはずです。
今のラケットに最適なガットの種類について詳しく知りたい場合は、ぜひショップのスタッフや信頼できるコーチに相談してみてください。


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