テニスラケットを選ぶ際、フェース面積や重量は気にしても「剛性(RA値)」まで深くチェックしている人は意外と少ないかもしれません。しかし、実際にコートに立ち、フルスイングした瞬間に手に伝わる「あの感覚」の正体は、実はこの剛性にあります。
今回は、数々のラケットを打ち込んできた経験をもとに、数値だけでは見えてこない剛性のリアルな体感を深掘りします。
そもそもテニスラケットの「剛性(RA値)」とは?
剛性とは、一言で言えば「フレームの変形のしにくさ」です。これを数値化したものがRA値。一般的には60〜70程度の範囲で設定されており、数値が大きいほど硬く、小さいほど柔らかいフレームであることを示します。
数値の目安とキャラクター
- RA 70以上(高剛性): パワー系。球離れが速く、弾きが良い。
- RA 64〜67(中剛性): 現代の標準。パワーとコントロールのバランス型。
- RA 63以下(低剛性): しなり系。ボールを掴む感覚が強く、マイルドな打球感。
【体験インプレ】剛性の違いでプレーはどう変わるのか?
実際に高剛性ラケットと低剛性ラケットを持ち替えてプレーした際の、生々しい感覚の違いをお伝えします。
高剛性(硬い)ラケットを打った時の感覚
バボラ ピュアドライブのような高剛性モデルを手にすると、まず感じるのは「面の安定感」です。オフセンターでボールを捉えても、フレームが負けずに力強く押し返してくれます。
- ボレー: 当てるだけで深く返ります。相手の突き球に対しても面がブレないので、ダブルスでの安心感は格別です。
- サーブ: 初速の速さに驚きます。フラットサーブのスピードを追求したいなら間違いなくこちら。
- 懸念点: 振動がダイレクトに腕に来る感覚があります。スイートスポットを外すと「硬い鉄板で打っている」ような衝撃を感じることも。
低剛性(柔らかい)ラケットを打った時の感覚
一方で、ウィルソン プロスタッフやヘッド プレステージのような、しなりを重視したモデルはどうでしょうか。
- ストローク: ボールが一度フェースに沈み込み、そこから放たれる「粘り」があります。自分のスイングでボールの形を変えているような、独特の快感があります。
- コントロール: 滞留時間が長いため、コースの微調整が効きます。「あそこに落としたい」という感覚派のプレーヤーにはたまらないはずです。
- 懸念点: 自分の力でしっかり振り切らないと、ボールが短くなりがちです。守備に回らされた時に「ラケットが助けてくれない」と感じる場面もありました。
どちらを選ぶべき?あなたのタイプを診断
高剛性(硬め)がおすすめの人
- 非力だがスピードボールを打ちたい。
- ボレーを武器に、ダブルスを優位に進めたい。
- ヨネックス EZONEのように、爽快な弾きを求める。
低剛性(柔らかめ)がおすすめの人
- 自分のスイングスピードに自信があり、パワーを抑制したい。
- 肘や肩に優しく、疲労感の少ないラケットを探している。
- ウィルソン クラッシュのような、ウッドラケットに近いしなりを現代の技術で味わいたい。
【要注意】数値上の剛性と「体感」は必ずしも一致しない
最近のラケット進化で面白いのは、RA値が高くても「柔らかい」と感じるモデルが増えていることです。
例えばヨネックス VCOREなどは、素材に振動吸収材を練り込むことで、高い反発力を維持しながらも、不快な衝撃をカットしています。また、ストリング選びも重要です。硬いフレームにバボラ エクセルのような柔らかいナイロンを張ることで、絶妙なバランスを生み出すことも可能です。
まとめ:自分に最適な「しなり」を見つけよう
ラケットの剛性は、どちらが優れているというものではありません。あなたのスイング、プレースタイル、そして「どんな感触が心地よいか」という感性に直結する部分です。
カタログスペックのRA値はあくまで「傾向」として捉え、最後は自分の手でその「しなり」を感じてみてください。自分にぴったりの剛性が見つかれば、テニスはもっと自由で楽しいものになるはずです。


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