「テニスをやるなら身長が高いほうが有利だ」——そんな言葉を耳にするたび、自分の背丈を見てため息をついた経験はありませんか?確かに、現代のプロテニス界は大型化が進んでいます。しかし、それは決して「小柄な選手が勝てない」ことを意味しません。
私自身、ジュニア時代から身長の低さに悩み、190cm近い相手のサービスに絶望を感じたことが何度もありました。しかし、現場での経験とデータを照らし合わせると、小柄な選手にしか歩めない「勝利への道筋」が見えてきます。本記事では、テニスにおける身長の真実と、体格差を戦略でひっくり返す具体的な秘策を深掘りします。
世界と日本のトップ選手の平均身長データ:今のトレンドは?
まずは現実を知るために、現代プロテニス界の「高さ」を見てみましょう。
2024年現在、男子プロ(ATP)トップ10の平均身長は約188cm〜190cmに達しています。ノバク・ジョコビッチ(188cm)や、2メートル近い長身から強打を放つダニール・メドベージェフなど、上位陣は「動ける大男」が席巻しています。女子(WTA)でも175cm〜180cm前後の選手が主流となり、パワーテニス化が止まりません。
一方で、日本人の平均身長(成人男性約171cm)を考えると、この数字は非常に高く感じられます。しかし、希望はあります。178cmの錦織圭選手や、公称170cmの西岡良仁選手は、この「巨人たちの庭」で互角以上に渡り合っています。彼らが証明しているのは、身長はあくまで一つの要素に過ぎないということです。
実体験から語る「身長の高さ」の残酷なメリットと意外な弱点
実際にコートに立つと、高身長選手の威圧感は数字以上に強烈です。
メリット:物理が生み出す圧倒的な優位性
長身選手と対戦して最も絶望感を感じるのは「サーブの角度」です。高い打点から打ち下ろされるボールは、ネットを越えてから鋭角に落ち、さらに高く跳ね上がります。
私がある試合で195cmの選手と対戦した際、テニス ラケットを最大限に伸ばしても、頭上を越えていくスピンサーブに触れることさえできなかった記憶があります。また、ネットに出られた際の「壁」のような感覚も、リーチのある選手特有の武器です。
デメリット:巨体ゆえの「死角」
しかし、完璧な選手はいません。長身選手は重心が高いため、足元に沈められたボールの処理を苦手とします。深い屈伸を強いられることで、スタミナを削られやすく、膝や腰への負担も大きくなります。また、一度崩された際の切り返し(フットワーク)の速度では、小柄な選手に分があります。
小柄な選手が格上に勝つための「生存戦略」
体格で劣るなら、頭脳とフットワークで上回るしかありません。私が多くの試合から学んだ、小柄な選手が生き残るための鉄則は以下の3点です。
1. ライジングショットで時間を奪う
リーチで負けているなら、相手が準備する時間を削るしかありません。バウンドの上がり際を叩く「ライジング」を習得することで、物理的な距離の不利を補うことができます。これには高度なテニスシューズのグリップ力と、一歩早く球に入る予測能力が不可欠です。
2. 緩急と配球で「動かすテニス」
長身選手は自分のリズムで打てるときには最強ですが、走らされると脆さを見せます。スライスやドロップショットを混ぜ、前後に揺さぶりましょう。相手に「心地よくフルスイングさせない」ことが、小柄な選手の最大の守備であり攻撃になります。
3. スタミナという最強の武器
小柄な選手は、持久戦に持ち込むべきです。第1セットを落としても、相手の巨体が疲弊し始める第3セットで逆転する。そんな泥臭い「粘り」こそが、体格差を埋める一番の薬です。日頃からスマートウォッチなどで心拍を管理し、極限状態でも走り勝てる体力を養いましょう。
まとめ:身長は「スタイル」を決める要素の一つでしかない
テニスにおいて、身長は「持っているカード」の一枚に過ぎません。エースを連発できる長身選手もいれば、驚異的な粘りで相手を根負けさせる小柄な選手もいます。
大切なのは、自分の身長を嘆くことではなく、その体格だからこそ選べる「最強のスタイル」を追求することです。あなたがもし「背が低いから」と諦めそうになっているなら、まずは自分のフットワークを信じてみてください。コートを縦横無尽に駆け回り、巨人を翻弄するテニスには、他では味わえない最高の快感があります。


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