テニスラケットを選んでいるとき、スペック表にある「beam」という項目を見て、「これって何のこと?」と首を傾げたことはありませんか?日本語では一般的に「フレーム厚」と呼ばれますが、この数ミリの差が、コート上でのあなたのプレーを劇的に変える決定打になるのです。
今回は、私がこれまで何本ものラケットを使い込んできた中で感じた「生の声」を交えながら、ビームの正体とその選び方を徹底解説します。
1. テニスラケットの「beam(ビーム)」の正体
「beam」とは、ラケットのフレーム自体の厚みのことです。多くのメーカーではミリ単位(mm)で表記されています。
- フラットビーム: 全体の厚みが一定(例:22mm均一)
- テーパービーム: 場所によって厚みが異なる(例:23-26-23mm)
なぜこの数値が重要なのか。それは、フレームが厚ければ厚いほど「しなりにくく、反発する」ようになり、薄ければ薄いほど「しなって、コントロールしやすくなる」という物理的な法則があるからです。
2. 【体験談】ビームの厚さ別・打ち心地のリアルな違い
実際にコートで打ち比べた際のフィーリングをベースに、タイプ別の特徴を深掘りします。
薄ラケ(22mm以下):コントロールと打感の「沼」
初めてWilson プロスタッフのような薄ラケを振ったとき、私はその「情報の多さ」に驚きました。
- 体験: 芯を喰ったときの「パチン!」という掌に伝わる感触が病みつきになります。ボールを一度ホールドしてから放り出す感覚が強く、ライン際を攻めるようなショットも自信を持って振り抜けます。
- 本音: ただし、自分がサボるとボールは全く飛びません。調子が悪い日にはこれほど残酷な武器はないと感じることもあります。
中厚ラケ(23〜25mm):迷えるプレーヤーの救世主
Babolat ピュアドライブに代表されるこのカテゴリーは、現代テニスのスタンダードです。
- 体験: 自分のスイングの力に、ラケットがほどよく「おまけ」をしてくれる感覚です。オフセンターで打ってしまった時も、フレームの剛性が助けてくれるので、ラリーが安定します。
- 本音: 「とりあえずこれにしておけば間違いない」という安心感があります。パワーとコントロールの最大公約数を選びたいなら、ここ一択です。
厚ラケ(26mm以上):楽をして勝つための魔法
HEAD ブーンなどの厚みがあるタイプは、非力な方だけのものだと思われがちですが、実は戦略的な選択肢です。
- 体験: ボレーがとにかく楽です。相手の強いショットに対して面を合わせるだけで、ビームの反発力がボールを深く押し返してくれます。ダブルスで前衛に立つ時間が長い私にとって、この「楽さ」は大きな武器になりました。
- 本音: フルスイングするとバックアウトしやすいので、コンパクトに合わせる技術が求められます。
3. フラットかテーパーか、形状のこだわり
ビームの形状にも注目してみてください。
例えば、スロート(喉の部分)が薄く、トップ(先端)が厚いテーパービームは、「しなりによるホールド感」と「先端でのパワー」を両立させようというメーカーの執念が詰まっています。
私がYONEX EZONEを使用した際は、この形状のおかげで、振り抜きが良いのにボールにパワーが乗るという、不思議な感覚を味わいました。
4. 失敗しないビーム幅の選び方:自分への問いかけ
スペック表を見る前に、自分のプレーを振り返ってみてください。
- 「フルスイングしてもコートに収めたい」→ 22mm以下の「薄め」を探すべきです。
- 「パワー不足を解消して、楽に深く返したい」→ 26mm以上の「厚め」があなたの味方になります。
- 「何でもこなせる万能な一本が欲しい」→ 24mm前後の「中厚」からスタートしましょう。
よくある失敗は、憧れのプロが使っているからとHEAD プレステージのような極薄ラケを使い、飛ばなさに絶望してテニスが嫌いになってしまうケースです。自分のスイングスピードと、ビームが持つ反発力の「相性」を見極めることが、上達への最短距離になります。
5. まとめ
テニスラケットの「beam」は、単なる数字ではなく、あなたのプレースタイルを決定づける「性格」そのものです。
まずは自分が「打感」を優先したいのか、「パワー」を優先したいのかを整理してみてください。その答えが、自ずとあなたに最適なビーム幅を教えてくれるはずです。次回のラケット選びでは、ぜひこの「ミリ単位の魔法」を意識して、最高の相棒を見つけてください。


コメント