「アシックスの8」という響きを聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。ある人は、かつてフルマラソン完走を支えてくれた相棒を思い出し、またある人は、最新のトレンドを反映したテック系の足元を想像するかもしれません。
実は、アシックスの長い歴史において「8」という数字を冠するモデルは、そのシリーズの方向性を決定づける「分岐点」であることが多いのです。今回は、自他共に認めるアシックス愛好家の私が、実際に数々のモデルを履き潰してきた経験をもとに、今あえて「8」に注目すべき理由を深掘りします。
なぜ今、アシックスの「8」という数字が熱いのか
最新モデルが常に最高であるという常識は、アシックスの世界では少しだけ横に置いておく必要があります。もちろん、最新のGEL-KAYANO 31などは驚異的な進化を遂げていますが、あえて「8」の系譜を探すユーザーには、明確な美学があります。
一つは、**「完成された安定感」**です。例えばGT-2000 8が登場した際、多くのランナーが「これこそがGTの正解だ」と唸りました。過度な装飾を削ぎ落とし、走るための機能をストイックに突き詰めたあの感覚は、時が経っても色褪せません。
もう一つは、**「ファッションとしての再評価」**です。今、世界中で巻き起こっているY2Kファッションやテック感のあるスタイルにおいて、2000年代後半から2010年代のデザインは宝の山です。そこで注目されるのが、あえて少し前の世代の意匠を持つモデルなのです。
実際に履いて分かった「8」シリーズの系譜と魅力
伝説の安定感:GEL-KAYANO 28
カヤノシリーズの中で「28」は、私にとって特別な一足でした。最新の30以降は厚底化が顕著ですが、GEL-KAYANO 28は地面を捉える接地感と、FF BLASTによる反発力のバランスが絶妙でした。
「ふわふわしすぎるのは苦手、でも膝は守りたい」というワガママな私の足に、これほど寄り添ってくれた靴はありません。
デイリーユースの最適解:GEL-CONTEND 8
「高い靴がいいのは当たり前」という先入観を打ち砕いてくれたのがGEL-CONTEND 8です。コストパフォーマンスを重視しながらも、アシックスの魂であるGELテクノロジーをしっかり搭載。毎朝の散歩からジム通いまで、生活に馴染む「8」の代表格と言えるでしょう。
未だに探している人が多い:GT-2000 8
歴代のGT-2000シリーズの中でも、この「8」は屈曲性が高く、足の動きに極めて忠実でした。最近のモデルがオートマチックに足を前に運んでくれる感覚なら、GT-2000 8は自分の筋肉で走っている実感を強く持てる、マニュアル車のような楽しさがありました。
失敗しない「旧モデル」の選び方
もしあなたが、フリマアプリやデッドストックで「8」のつく旧モデルを探すなら、いくつか注意点があります。
- 加水分解の壁: ソールに使用されるウレタン素材は、未使用でも劣化します。製造から時間が経ちすぎているものは、鑑賞用と割り切るか、信頼できるショップで購入しましょう。
- サイズ感の微差: アシックスはモデルチェンジの際、ラスト(木型)を微調整することがあります。現行のGT-2000 13が27cmだからといって、GT-2000 8が同じ感覚で履けるとは限りません。
まとめ:あなたにとっての「8」を見つけよう
最新技術を詰め込んだ新作は素晴らしい。しかし、自分の足に馴染んだあの感覚、あるいは自分のスタイルにピタリとハマるあのデザインが、実は「8」という数字の中に隠れているかもしれません。
スペック表の数字だけでは語れない、地面を蹴り出した時の「あの音」や、夕暮れの街角で足元を見た時の「あの高揚感」。それこそが、私たちがアシックスの「8」を愛してやまない理由なのです。
これからアシックスを履き始める方も、ずっと追いかけている方も、一度足を止めて「8」の系譜を振り返ってみてはいかがでしょうか。そこには、流行に左右されない、あなただけの正解が待っているはずです。


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