テニスコートの正確なサイズを知ることは、単なる知識の習得以上に、プレーの質を左右する重要な要素です。特に試合に出始めたばかりの頃は、「練習しているコートよりも試合会場が狭く感じる」あるいは「広すぎてどこを守ればいいかわからない」といった違和感を覚えることが多々あります。
この記事では、公式規格としての数値はもちろん、実際にコートに立った時の「距離感」や「体験」に基づいたリアルな視点を深掘りしていきます。
テニスコートの基本サイズ(公式規格)
まず、検索の答えとなる正確な数値を把握しましょう。テニスコートはITF(国際テニス連盟)によって厳密にサイズが定められています。
| 区分 | 全長 | 横幅 | 面積(平米) |
| シングルス | 23.77m | 8.23m | 約195.6㎡ |
| ダブルス | 23.77m | 10.97m | 約260.8㎡ |
シングルスとダブルスの差は、両サイドに広がる「アレー(廊下)」と呼ばれるエリアの有無です。片側1.37m、両側合わせて2.74m分、ダブルスの方が広くなります。
この数値を頭に入れた上で、次はプレーヤーが実際に感じる「サイズ感」の話をしましょう。
【体験談】コートに立つとどう感じる?数値以上に重要な「周辺スペース」
実は、テニスのプレーに最も影響を与えるのはライン内のサイズよりも、ラインの外側のスペース、いわゆる「有効安全離隔距離」です。
1. ベースライン背後の「ランバック」の重要性
公式大会(ITF規格)では、ベースラインから後ろのフェンスまで6.4m以上の距離が推奨されています。しかし、一般のレンタルコートや公営の古いコートでは、この半分程度しかない場所も珍しくありません。
実体験からのアドバイス:
私がある市民大会に出場した際、ランバックが極端に狭いコートに当たりました。深いロブを打たれた際、下がってスマッシュを打とうとすると背中がフェンスに当たってしまい、思い切り振ることができませんでした。このような環境では「下がりきれない」という恐怖心から、普段より前でライジング気味に処理する技術が求められます。
2. サイドスペースの体感
サイドラインから横のフェンスまでの距離も重要です。ダブルスの際、ワイドに振られたボールを追いかけようとしてフェンスにぶつかりそうになった経験はありませんか?
サイドスペースが狭いコートでは、角度をつけたショットの有効性が増します。相手をコートの外へ追い出せば、物理的にフェンスが邪魔をして返球が困難になるからです。
サーフェス(床材)によって「広く」感じ方が変わる?
不思議なことに、コートの表面の材質(サーフェス)によっても、視覚的な広さの感じ方は変わります。
- ハードコート: 表面が均一でラインがくっきり見えるため、サイズを正確に把握しやすいです。ボールのバウンドが予測しやすいため、守備範囲を絞りやすいメリットがあります。
- オムニコート(砂入り人工芝): 日本で最も普及しているタイプです。緑色の人工芝に白いラインが映えますが、夕暮れ時になると砂の影響でラインがぼやけて見え、コートが少し膨張して(広く)見える感覚に陥ることがあります。
- クレーコート: 土のコートでは、滑りながら打つ必要があるため、一歩の踏み込みが重要になります。「滑る分だけ遠くまで届く」という感覚を持つ人もいれば、「足元が不安定でコートが果てしなく広く感じる」という人もいます。
体力の消耗を抑えるためには、テニスシューズをそれぞれのサーフェスに合ったものに新調するだけで、フットワークの安心感が変わり、コートが自分の支配下にあるように感じられるはずです。
自宅や私有地にコートを作りたい場合
もし「マイコート」を検討しているなら、土地の面積はコートサイズ(約260㎡)だけでは全く足りません。フェンスやベンチ、照明、そして前述のランバックを含めると、最低でも 20m × 40m(約800㎡) 程度の土地が必要になります。
また、夜間練習を想定するならLED投光器の設置も不可欠です。最近は家庭用電源でも十分に明るいものが増えていますが、光のムラがあるとボールの距離感が狂い、せっかくのサイズ感覚が台無しになってしまいます。
まとめ:サイズを知るとテニスがもっと戦略的になる
テニスコートのサイズを「ただの数字」として覚えるのではなく、「自分のストライド(歩幅)で何歩分か」という体感に落とし込んでみてください。
例えば、多くの大人ならサイドラインからセンターラインまでは4〜5歩程度で移動できるはずです。この「歩数」の感覚が身につくと、次に自分がどこへポジショニングすべきかが無意識にわかるようになります。
次にコートに立つときは、ぜひメジャーではなく「自分の足」でその広さを確かめてみてください。その一歩一歩が、あなたのテニスをより戦略的で深いものに変えてくれるでしょう。


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