バイクタイヤの価格が高騰し続ける昨今、消耗品であるタイヤ選びは、まさに「家計と情熱のせめぎ合い」です。そんな中、私の目に留まったのが、ダンロップのROADSMART III S。最新モデルのIVでもなく、標準のIIIでもない、この「S」という選択肢。実際に愛車に履かせ、雨の峠道から真夏の高速道路まで数千キロを走破した経験から、その正体を包み隠さずお伝えします。
ROADSMART III Sの正体:ただの廉価版ではない
ROADSMART III Sを検討する際、誰もが抱く不安は「安かろう悪かろうではないか?」という点でしょう。結論から言えば、これはコストダウンのために性能を削った「妥協タイヤ」ではなく、ターゲットを絞り込んで無駄を削ぎ落とした「最適化モデル」です。
基本コンパウンドは、かつてのフラッグシップである無印IIIを継承。フロントの構造をシンプルにすることで軽量化を図っており、倒し込みの軽快さはむしろこちらのほうが際立っているほど。大型ツアラーでどっしり直進したい人より、ミドルクラスのネイキッドでヒラヒラとコーナーを抜けたいライダーにとって、この「軽さ」は大きな武器になります。
実際に走って感じた「驚異のウェットグリップ」と「ライフ」
ツーリングライダーにとって最も避けたいのは、旅先での急な雨。ROADSMART III Sを履いて雨の中央道を走った際、排水性の高さには目を見張るものがありました。路面を噛む感覚が指先に伝わりやすく、冷えた路面でも接地感が希薄になりにくい。これはダンロップ独自のシリカ配合技術の恩恵でしょう。
また、気になる寿命(ライフ)について。私のケースでは、6,000km走行時点でセンターの溝はまだ6割以上残っています。最新のROADSMART IVならさらに数千キロ上乗せできるかもしれませんが、前後セットの価格差を考えれば、ROADSMART III Sの1kmあたりのコストは圧倒的に優秀です。
最新モデル「IV」や無印「III」と何が違うのか?
比較検討時に押さえておくべきポイントは以下の通りです。
- ROADSMART IVとの違い: IVは最新の振動吸収テクノロジーを搭載しており、乗り心地は魔法の絨毯のようにしなやかです。一方、ROADSMART III Sは路面状況をダイレクトに伝える特性があり、バイクを操っている感覚が強く、スポーティに感じられます。
- 無印IIIとの違い: 重厚な大型バイク(250kg超)で長距離を走り抜けるなら無印の剛性が安心ですが、400cc〜800cc程度のバイクなら、ROADSMART III Sの柔軟な構造のほうがタイヤの接地を感じやすく、むしろ乗りやすく感じるはずです。
総評:あなたが選ぶべきは「S」か?
「最新スペックこそが至高」という考えも一つの正解です。しかし、週末のツーリングを楽しみ、雨の日も安全に帰宅したい、そして浮いたタイヤ代で美味しい旅の食事を豪華にしたい。そんな現実的で欲張りなライダーにとって、ROADSMART III Sは現在、最も賢明な選択肢だと言えます。
高級タイヤをケチって溝がないまま走り続けるよりも、信頼のダンロップ製であるこのタイヤをフレッシュな状態で履き潰す。それこそが、安全で豊かなバイクライフを送るための「正解」だと、私は自分の走行ログを振り返りながら確信しています。
次は、あなたの愛車にROADSMART III Sを装着して、その軽快なハンドリングを体感してみませんか?


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