テニスコートでラケットをバッグから取り出した瞬間、同年代のプレーヤーから「おっ、懐かしいね!」と声をかけられる。そんな経験をさせてくれるのが、ダンロップ n 111です。
かつてテニス界を席巻したこの名器は、今なお一部のコアなファンやコレクターの間で熱烈な支持を受けています。今回は、実際にDUNLOP N-111を手に取り、現代のスピードテニスの中で振り抜いてみた実感を交えながら、その魅力と真実を深掘りしていきます。
時代を超えて愛される「N-111」の正体
ダンロップ n 111は、パワー全盛の現代ラケットとは一線を画す、しなやかさとコントロール性能を両立したモデルです。カーボンとグラスファイバーを絶妙にブレンドしたフレームは、ボールを捉えた瞬間にグッとホールドする感覚があり、自分の手のひらでボールを転がしているような錯覚さえ覚えます。
最近の高弾性カーボンを採用したテニスラケットに慣れていると、最初は「少し飛ばないな」と感じるかもしれません。しかし、スイングスピードを上げていくほどに、狙ったライン際へ吸い込まれるようなコントロールの精度に驚かされるはずです。
Nシリーズの中での立ち位置と操作性
当時のダンロップは「Nシリーズ」として複数のラインナップを展開していましたが、その中でもN-111は非常にバランスの取れた優等生的な存在でした。
- 操作性: フレームの厚みが適度に抑えられており、ボレーなどのネットプレーでの取り回しが抜群です。
- 打球感: 振動吸収性が高く、手首や肘に優しいマイルドな打ち心地が特徴です。
- デザイン: 落ち着いたカラーリングは、現代の派手なスポーツ用品の中にあって、かえって知的な存在感を放ちます。
現代テニスで「N-111」を使うという贅沢
実際に現代の主流であるポリエステルガットをダンロップ n 111に張って試打してみました。
結論から言えば、パワー負けすることはありません。むしろ、最新のバボラやウィルソンのラケットが自動的にボールを飛ばしてくれるのに対し、N-111は「自分のスイングでボールを飛ばす」というテニスの原点的な楽しさを思い出させてくれます。厚い当たりでボールを潰した時の、あの独特な快感は、この時代のラケットでしか味わえない特権と言えるでしょう。
もちろん、スイートスポットは現行モデルに比べれば狭いかもしれません。しかし、その分「芯」を喰った時の情報量は圧倒的で、上達を目指すプレーヤーの練習機としても非常に優秀だと感じました。
中古市場での選び方とメンテナンスのコツ
現在、ダンロップ n 111を入手するには、メルカリやヤフオクといった中古市場がメインとなります。
購入時にチェックすべきポイントは、フレームのクラック(ヒビ)はもちろんですが、特に「グロメット」の状態です。古いモデルのため、グロメットが劣化して割れているケースが多く、替えのパーツを見つけるのは困難です。可能な限り状態の良い個体を探すか、ラケット保護テープなどで補強しながら大切に使うのが長く付き合うコツです。
まとめ:感性を研ぎ澄ます一本
ダンロップ n 111は、単なる古い道具ではありません。それは、プレーヤーの感性を研ぎ澄まし、一球一球を丁寧に打つ喜びを教えてくれる「相棒」です。
最新のテクノロジーに疲れた時、あるいは自分のテニスを見つめ直したい時、ぜひこのダンロップの名器を手に取ってみてください。コートの上で、きっと新しい発見があるはずです。


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