「もっと速く、もっと意のままに車を操りたい」そう考えたとき、真っ先に候補に挙がるのがハイグリップタイヤの代名詞であるダンロップ ディレッツァ ZIIIではないでしょうか。私自身、これまで数々のスポーツタイヤを履き潰してきましたが、このタイヤほど「路面を掴んでいる」という安心感を与えてくれるモデルはそう多くありません。
今回は、サーキット走行会から週末の峠道まで、DIREZZA ZIIIを使い倒して分かったリアルな使用感や、気になる寿命、ライバルとなるADVAN NEOVA AD09との違いを徹底的に掘り下げていきます。
実際に履いて分かった!DIREZZA ZIIIの「粘り」と操作性
初めてディレッツァ ZIIIを装着してコースに出た瞬間、驚かされるのはステアリングを通した情報の解像度です。コーナーへの進入時、ブレーキを残しながらハンドルを切っていく際の手応えが非常にダイレクト。
特に感動したのは、限界付近での挙動です。ハイグリップタイヤの中には、限界を超えた瞬間に唐突にグリップを失うものもありますが、ZIIIは「ここから滑り出すよ」という兆候をじわっと伝えてくれます。このコントロール性の高さこそが、初心者から上級者まで幅広く支持される理由だと痛感しました。
気になる「寿命」と「熱垂れ」の真相
スポーツ走行を楽しむ人にとって、最大の懸念点は「ライフ(耐摩耗性)」でしょう。結論から言えば、DIREZZA ZIIIはハイグリップカテゴリーの中ではかなり健闘している部類です。
先代のDIREZZA ZII★と比較しても、摩耗の進み方は穏やかになった印象を受けます。もちろん、サーキットで全力のタイムアタックを繰り返せばそれなりに削れますが、熱が入ってもゴムがボロボロと剥がれ落ちるような「溶け」が少なく、綺麗な摩耗面を維持してくれます。
ただし、冷間時のグリップは過信禁物です。冬場の走り出しなどは、しっかりと熱が入るまで慎重にタイヤを温める儀式が欠かせません。
ライバル比較:ADVAN NEOVA AD09との違い
よく比較対象に挙がるヨコハマ アドバン ネオバ AD09と比べると、その性格の差がはっきりします。
AD09はケース剛性が非常に高く、ガチッとした剛性感で力強く曲がる感覚。対するDIREZZA ZIIIは、ゴムそのものの柔軟性で路面にしなやかに食いつく感覚です。
タイムの出しやすさという点ではポテンザ RE-71RSに一歩譲る場面もありますが、街乗りでのロードノイズや雨天時の排水性(ウェットグリップ)を含めた総合バランスでは、依然としてディレッツァ ZIIIに軍配が上がります。
総評:DIREZZA ZIIIは「対話を楽しめる」タイヤ
ダンロップ ディレッツァ ZIIIは、単に速いだけのタイヤではありません。路面のコンディションを読み取り、荷重移動を正確に行うといった「運転の基本」を教えてくれる、極めて誠実なタイヤです。
「サーキットでのタイムを縮めたいけれど、普段使いでの安心感も捨てたくない」
そんな欲張りなドライバーにとって、これほど信頼できるパートナーはいないでしょう。次にタイヤを交換する際は、ぜひこの「極上の粘り」を体験してみてください。


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