テニス界において「ビッグ4」という巨大な壁が立ちはだかっていた時代、その厚い壁を真っ向から打ち破り、3つのグランドスラムタイトルを奪い取った男がいます。その名はスタン・ワウリンカ。彼がコートで見せる爆発的なパワーと、見る者を虜にする片手バックハンドは、単なる技術を超えた「美学」すら感じさせます。
今回は、私が実際にコートや現地観戦で体感したワウリンカの凄み、そして彼を支えるギアの秘密について、ファンの視点から深く掘り下げていきます。
世界最強の矛「破壊神」と称される片手バックハンドの衝撃
ワウリンカを語る上で、バックハンドを避けて通ることはできません。現代テニスでは両手打ちが主流ですが、彼の片手バックハンドは別格です。
私が初めてナマで彼の練習を見たとき、一番驚いたのはその「音」でした。乾いた、それでいて重戦車が通り過ぎるような轟音。多くの選手がスピンで制御する中、彼はボールの芯を凄まじい筋力で打ち抜き、まるで重い石を投げているかのような弾道で相手のコートを突き抜けます。
特に、ベースラインの遥か後ろから放たれるダウン・ザ・ライン。あのショットが決まった瞬間、スタジアム全体の空気が一変し、観客が総立ちになる光景は何度見ても鳥肌が立ちます。アマチュアプレーヤーの視点で見れば、到底真似できる技術ではありませんが、「片手でもここまでパワーを出せるんだ」という希望を世界中に与え続けています。
鉄人の相棒:ワウリンカを支える使用ギア
ワウリンカのプレースタイルは、繊細なタッチというよりも、圧倒的なパワーとコントロールの融合です。そのハードヒットを支えているのが、長年愛用しているヨネックスの製品群です。
1. ラケット:VCORE PRO(現PERCEPT)シリーズ
彼が手にしているのは、ヨネックス VCORE PRO(現在はヨネックス PERCEPTとして展開)の流れを汲む、重厚感のあるラケットです。実際に手に取ってみると分かりますが、決して「楽に飛ばせる」ラケットではありません。しっかりと振り抜ける筋力があって初めて、あの強烈なスピンと伸びが生まれます。
2. ストリングとセッティング
パワーをロスなく伝えるために、彼はバボラ RPMブラストなどのポリエステルストリングを使用しています。私も似たセッティングを試したことがありますが、並大抵のスイングスピードではボールが飛ばず、彼のフィジカルの異常さを改めて痛感させられました。
3. 記憶に残るウェア
2015年の全仏オープン。ジョコビッチを破って優勝した際に彼が履いていた「赤のチェック柄のパンツ」を覚えているでしょうか?当時は賛否両論ありましたが、今ではワウリンカの不屈の精神を象徴する伝説のアイテムとして語り継がれています。
「Fail Better」左腕に刻まれた不屈の哲学
ワウリンカのキャリアは、決して順風満帆ではありませんでした。常に同郷の天才フェデラーと比較され、長らくその影に隠れていました。しかし、彼の左腕にはサミュエル・ベケットの言葉が刻まれています。
“Ever tried. Ever failed. No matter. Try Again. Fail again. Fail better.”
(かつて挑み、かつて敗れた。構わない。もう一度挑め。再び敗れよ。より良く敗れよ。)
30歳を過ぎてから全米オープンを制し、膝の大きな手術を乗り越えて何度もコートに戻ってくる姿は、まさにこの言葉を体現しています。私たちがワウリンカを愛してやまないのは、彼が「天才」だからではなく、誰よりも泥臭く、失敗を恐れずに挑み続ける「最高の挑戦者」だからではないでしょうか。
まとめ:私たちがワウリンカから学べること
スタン・ワウリンカという選手は、単なるトッププロの一人ではありません。圧倒的な武器を磨き上げることの重要性と、何度打ちのめされても立ち上がる精神力を教えてくれる存在です。
もしあなたが自分のテニスに行き詰まっているなら、一度彼のハイライトを見てみてください。そして、ヨネックスのラケットを手に取り、彼のように迷いなくラケットを振り抜いてみましょう。きっと、テニスの新しい楽しさが見えてくるはずです。


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