テニスを始めて最初にぶつかる壁、それが「グリップの握り方」です。私も初心者の頃は、コーチに教わった通りに握っているつもりでも、いつの間にか自己流の変な癖がついてしまい、ボレーが全く飛ばずに悩んだ時期がありました。
実は、グリップの握り方は単なる「持ち方のルール」ではありません。あなたがどんなボールを打ちたいか、どんなプレースタイルを目指したいかを決める、最も重要な土台なのです。今回は、実体験に基づく「ショットが劇的に安定する握り方」の極意をお伝えします。
なぜ「握り方」ひとつでテニスが変わるのか?
「適当に握りやすい持ち方でいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、握り方が1センチずれるだけで、ラケット面の向きは数度変わります。この数度が、コート上ではアウトかインかの大きな差を生みます。
また、間違った握り方で無理にスピンをかけようとすると、手首や肘に過度な負担がかかり、テニス肘などの怪我を招く原因にもなります。長く楽しくプレーするためにも、正しい知識を身につけましょう。
基本中の基本:グリップの「面(ベベル)」を知る
ラケットの持ち手は綺麗な円筒形ではなく、八角形になっています。この各面(ベベル)のどこに、人差し指の付け根(関節)を当てるかによって、握り方の名前が決まります。
まずは、自分のラケットを垂直に立てて、真上から見てみてください。一番上の平らな面が1番、そこから時計回りに2、3……と番号を振ってイメージするのがコツです。
スタイル別!5つのグリップとその使用感
1. コンチネンタル(包丁握り)
ラケットのフレームを地面に対して垂直にし、上から包丁を持つように握るスタイルです。
- 用途: サーブ、ボレー、スライス、スマッシュ。
- 体験談: 「最初は手首が不自然な角度に感じて、力が入りにくいかもしれません。私もボレーで負けてしまうのが怖くて、つい厚く握り直したくなりました。しかし、この握りに慣れると、手首の可動域が広がり、ネットプレーでのタッチが驚くほど繊細になります。」
2. イースタン(握手握り)
ラケット面と手のひらが平行になるように、握手をする感覚で握ります。
- 用途: フラット系のストローク。
- 体験談: 「ボールの後ろをダイレクトに叩ける感覚があり、初心者でもボールを遠くに飛ばす爽快感を味わいやすいです。ただし、現代の速いスピンボールに対応するには、少し面が開きすぎるリスクもあります。」
3. セミウェスタン(現代の主流)
イースタンとウェスタンの中間で、現在最も多くのプレーヤーが採用している握りです。
- 用途: オールラウンドなストローク。
- 体験談: 「迷ったらこれ、と言われる理由がよく分かります。スピンもかけやすく、低い球も高い球もバランスよく処理できます。スクールに通うなら、まずはこの握りをベースにするのが上達への近道です。」
4. ウェスタン(厚い握り)
手のひらがグリップの下側にくるような、かなり厚い握りです。
- 用途: 強いトップスピン、高い打点。
- 体験談: 「地面に置いたラケットをそのまま上から拾い上げるような感覚です。高い打点から叩き込む時には最高ですが、低い滑ってくるボールを処理するのは至難の業。足腰の強さが求められる玄人好みの握りと言えます。」
5. フルウェスタン(超極厚)
さらに極端に厚く握るスタイル。
- 用途: 強烈なエッグボール。
初心者が陥りやすい「握り方」の3つの落とし穴
① ギュッと握りすぎていませんか?
ミスショットを恐れると、つい指に力が入りすぎてしまいます。私はかつて、グリップを強く握りすぎて手のひらにマメが絶えませんでした。
理想は「生卵を割らない程度の強さ」です。インパクトの瞬間だけ力を入れる感覚を掴むと、ヘッドスピードが上がり、ボールの伸びが変わります。
② グリップテープの劣化を放置していませんか?
「握り方」を気にする前に、まず自分のグリップの状態を確認してください。表面がツルツルになっていたり、ボロボロ剥がれてきたりしていると、無意識に変な力が入って握りがズレてしまいます。
私は最低でも1ヶ月に1回はテニス グリップテープを巻き直すようにしています。常に吸い付くような感触を保つことが、正しい握りを維持する秘訣です。
③ 手の大きさとのミスマッチ
ラケット自体のグリップサイズ(1、2、3など)が手に合っていない場合、いくら正しい握り方を学んでも定着しません。手が小さいのに太いグリップを使っていると、面が安定しません。逆に手が大きい場合は、オーバーグリップテープを2重に巻くなどの工夫で調整するのがおすすめです。
まとめ:自分にぴったりの「正解」を見つけるために
テニスのグリップに唯一絶対の正解はありません。プロ選手でも、成長やプレースタイルの変化に合わせて握りを微調整しています。
まずは基本となる「セミウェスタン」から始めてみて、自分の打球がどう変化するかを観察してください。もしスピンがかかりすぎるなら少し薄く、当たりが薄すぎるなら少し厚く。
正しい握りをマスターして、ラケットが自分の体の一部になったような一体感を手に入れましょう。コートでボールを捉える感覚が、昨日までとは全く違ったものになるはずです。


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