「練習ではあんなにうまくいくのに、なぜ試合だとネットに突き刺さるのか」——テニス歴が長くなっても、ドロップショットの悩みは尽きないものです。私もかつては、絶好のチャンスでドロップを狙い、ボールがふわっと浮いて相手に叩き込まれるという苦い経験を何度も繰り返してきました。
ドロップショットは単なる「短い球」ではありません。相手の心理を操り、リズムを破壊する究極のスパイスです。本記事では、私が試行錯誤の末にたどり着いた「本当に試合で決まる」ドロップショットのコツを、リアルな体験談と共にお伝えします。
1. なぜあなたのドロップショットは決まらないのか?
試合中、ドロップショットを打とうとした瞬間に「あ、バレた」と感じたことはありませんか?失敗の最大の原因は、技術不足ではなく「準備」にあります。
- 「ドロップの構え」になっている: 緊張から体が縮こまり、テイクバックが小さくなると、相手は即座に前進を開始します。
- ネットを怖がりすぎている: 「絶対に入れなきゃ」という心理が働くと、手首をこねてしまい、ボールに余計な高さが出てしまいます。
- 無理な体勢から打っている: 自分が走らされている時に無理に打つドロップは、自滅への近道です。
2. 試合で「バレない」ための4つの鉄則
私が実際に試合で使い、効果を実感したポイントを整理しました。
① 「強打」のふりをギリギリまで維持する
ドロップショットの成功率は、打つ前の「騙し」で8割決まります。私はベースラインで深く構えた際、あえて大きなテイクバックを取り、「次はクロスに打ち抜くぞ」という殺気を出すようにしています。相手が重心を後ろに下げたその瞬間、インパクト直前で力を抜くのがコツです。
② 「横」を削るサイドスピンの魔力
バックスピン(縦回転)をかけようとすると、ボールが浮きやすくなります。おすすめは、ボールの右側(右利きの場合)を外側から内側へ撫でるように打つ「サイドスピン」です。
これにより、バウンド後にボールが外側へ逃げていくため、相手は追いついてもまともに返球できません。私はこの感覚を養うために、コート外でテニスボールをラケットのフレームで転がすような遊びを繰り返しました。
③ 打点は「高く、前で」捉える
低い打点からのドロップは、ネットを越すために上に運ぶ動作が必要になり、軌道がバレやすくなります。理想は腰より高い位置で、バウンドの頂点を叩くイメージです。「打つ」というより、ボールの勢いをラケット面で「殺して置く」感覚が近いです。
④ 膝を柔らかく使い、腕の力を抜く
手首だけでコントロールしようとすると、打球感が安定しません。私はインパクトの瞬間に、ほんの少しだけ膝を沈めるようにしています。これにより、体全体でボールの衝撃を吸収でき、柔らかいタッチが生まれます。
3. 私の成功体験:相手の精神を削るシチュエーション
ある夏の市民大会でのことです。相手は粘り強いベースライナーで、こちらの強打をすべて拾ってくるタイプでした。私は第2セットの後半、あえて相手を左右に走らせた後、深いボールを1本打ち込みました。
相手が「また深いのが来る」と下がった瞬間、ネット際へポトリ。相手は一歩も動けず、その1ポイントを境に相手の足が目に見えて止まりました。
ドロップショットの真の価値は、決まった時だけでなく「次は前があるかもしれない」と相手に警戒させ、一歩目の出を遅らせることにあります。
4. 精度を劇的に上げる自主練習メニュー
コートがなくてもできる練習で、タッチの感覚は磨けます。
- ラケッティング変奏曲: テニスラケットの面の上で、ボールを高く上げたり、極限まで低く止めたりを繰り返します。特に、ボールが面に当たる瞬間にスッと引いて音をさせない練習は、ドロップのタッチそのものです。
- 壁打ちでの「寸止め」: 壁に向かって打ち、跳ね返ってきたボールをネットに見立てたラインのすぐそばに落とす練習です。私はテニスシューズのグリップを確認しながら、小刻みなステップで打点に入る習慣をつけました。
5. まとめ:勇気を持って「力を抜く」こと
ドロップショットは、テニスの中で最も繊細で、かつ大胆なショットです。失敗を恐れて腕を振るのをやめてはいけません。
まずは練習試合で、1ゲームに1回は使うというノルマを自分に課してみてください。「ここで打ったら驚くだろうな」という遊び心が出てくれば、あなたのドロップショットは格段に研ぎ澄まされるはずです。
次回の練習には、新しいグリップテープを巻き直し、新鮮な感覚でボールを触ってみることから始めてみませんか?その繊細な指先の感覚が、試合を決定づける最高の一打を生むはずです。
次回の練習で、本記事の「サイドスピン」を意識したメニューを試してみませんか?具体的な練習メニューの作成もお手伝いできます。


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