「16×19だと打球が暴れるし、かといって18×20は板のように硬くて飛ばない……」そんな贅沢な悩みを抱えていた私が、ついに辿り着いた答えが「16×20」という選択でした。
テニスショップのラケットコーナーで、スペック表の隅にひっそりと書かれたこの数字。実は現代テニスのスピードとスピンを両立させる、まさに「黄金比」とも言える設計なのです。今回は、数々のラケットを使い倒してきた筆者の実体験をもとに、16×20のストリングパターンがもたらす唯一無二の操作感について深掘りしていきます。
実際に打ってわかった「16×20」の衝撃的なバランス
初めて16×20を採用したWilson Blade 98 16x19の兄弟モデルである16×20版を手にしたとき、最初に感じたのは「打ち抜いてもコートに収まる安心感」でした。
16×19にはない「面の安定性」
一般的な16×19はスピンがよくかかりますが、ハードヒットした際にガットがたわみすぎて、ボールが予期せぬ方向に吹っ飛ぶことがあります。しかし、16×20は横糸(クロス)が1本多いだけで、インパクト時の面の剛性がグッと高まります。フラットドライブで打ち込んだ際、ボールが面に「乗る」感覚がありながら、狙ったラインへ一直線に突き刺さる快感は、このパターンならではの特権です。
18×20にはない「スピンの逃げ道」
一方で、プロ仕様に多い18×20は、目が細かすぎてボールを持ち上げるのが一苦労です。16×20の場合、縦糸(メイン)が16本に維持されているため、スピンをかけるための「ガットの動き(スナップバック)」が死んでいません。追い込まれた時のロブや、急角度のアングルショットもしっかりと回転で落とすことができました。
体験者が語る、メリットとデメリットのリアル
メリット:攻撃力が一段階上がる
私がBabolat Pure Strike 98の16×20モデルを使用していた際、最も恩恵を感じたのはリターンの安定感です。相手の速いサーブに対して面を合わせるだけで、面がブレずに鋭い返球が可能になりました。また、ガットの摩耗が16×19より緩やかなため、ノッチ(ガットの溝)ができにくく、打ち応えが長持ちするのも嬉しいポイントです。
デメリット:少しだけ「パワー」が必要
正直に言うと、16×19に比べるとスイートスポットを外した時の失速感はあります。楽にボールを飛ばしたい初級者の方には、少しシビアに感じるかもしれません。しかし、中級者以上で「自分でしっかりスイングを完結させたい」という方にとっては、これ以上ない武器になります。
16×20を選ぶべきは、こんなプレイヤー
もしあなたが以下の項目に一つでも当てはまるなら、今すぐTecnifibre TF40のような16×20モデルを試打すべきです。
- フルスイングするとバックアウトが増えてきた
- ボレーの際にもう少し「弾き」ではなく「コントロール」が欲しい
- 18×20は憧れるが、後半に腕が疲れてボールが上がらなくなる
- 厚い当たりでボールを潰す感覚を重視したい
セッティングのコツ:ガット選びで化ける
16×20のポテンシャルを最大限に引き出すなら、ガット選びも重要です。面の硬さが気になるなら、Luxilon ALU Powerのような定番ポリを1〜2ポンド落として張るか、あるいは少し細めのゲージ(1.20mmなど)を選択してみてください。これにより、16×20特有のコントロール性能を維持したまま、心地よいホールド感を手に入れることができます。
まとめ:あなたのテニスを完結させる最後のピース
テニスラケットの進化は、単なる素材の変化だけではありません。この16×20というストリングパターンこそ、パワーインフレが進む現代テニスにおいて、プレイヤーがコントロールを取り戻すための最適解だと確信しています。
「16×19」のパワーと「18×20」の精密さ。その両方のいいとこ取りをしたこのスペックは、あなたのテニスをより論理的で、より攻撃的なものに変えてくれるはずです。次の相棒を選ぶ際は、ぜひこの「20本目の横糸」がもたらす魔法を体感してみてください。


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