テニスを始めようとショップに足を運んだ際、あるいはネットでギアを探している際、必ずと言っていいほど目にするのが「27インチ」という数字です。テニスラケットにおいて、この27インチ(約68.58cm)は「黄金スペック」の基準となる標準サイズ。
しかし、なぜこの長さが標準なのか、実際に使ってみるとどのような感覚の違いがあるのか、カタログスペックだけでは見えてこない「体感」の部分を深掘りして解説します。
27インチという長さがもたらす「絶妙なバランス」
テニスラケットの歴史の中で、操作性とパワーの最大公約数として定着したのが27インチです。これより短いと、ネット際でのリーチが足りず、サーブでの打点も低くなります。逆にこれより長い「長尺ラケット」になると、遠心力で威力は増すものの、手元に来た速いボールへの反応が遅れがちになります。
私がジュニア用の26インチから初めて27インチに持ち替えたとき、最も驚いたのは「サーブの軌道」でした。たった2.5センチの差ですが、打点が高くなることでネットを越える確率が目に見えて上がり、サービスエースの数よりも「ダブルフォールの減少」という形で恩恵を感じたのを覚えています。
【体験レビュー】実際に27インチを振り抜いて分かったこと
1. リーチの安心感とボレーの精度
ダブルスの試合中、センターに飛んできたボレーに対して「あ、届かない」と思った瞬間、ラケットがボールを拾ってくれた経験が何度もあります。27インチは、人間の腕の延長として最も自然に機能する長さだと痛感します。特にバボラ ピュアドライブのようなモデルは、その長さを活かした反発力が凄まじく、当てるだけで深く返球できる安心感があります。
2. ストロークの安定感と「打ち負けない」感覚
初心者の方が陥りがちなのが、操作性を求めて軽すぎるラケットを選んでしまうことです。しかし、標準的な27インチに適度な重量(300g前後)が加わると、相手の強いショットに対しても面がブレにくくなります。ヨネックス EZONE 100を使用した際、オフセンターで捉えてしまった時でも、ラケット自体の剛性と長さがカバーしてくれ、手に伝わる不快な振動が抑えられているのを実感しました。
3. 操作性のスイッチ
一方で、27インチは「振り切ること」を前提としています。もし、スイングの途中で怖がって腕を止めてしまうと、ラケットの重さと長さが仇となり、肘や手首に負担がかかることもあります。私自身、疲労が溜まった試合の最終セットでは、ラケットが急に重く感じ、操作が遅れることがありました。この「重さと長さの相性」こそが、27インチ選びの核心と言えます。
27インチラケット選びの3大チェックポイント
カタログを見る際、27インチであることは前提として、以下の3点に注目してください。
- ウェイト(自重): 27インチでも270gと310gでは別物です。一般男性なら290〜300g、女性なら270〜285gが目安ですが、実際にスイングした際の「振り抜きの良さ」を最優先してください。
- フレーム厚: 26mm前後の厚いフレーム(厚ラケ)は楽に飛び、22mm前後の薄いフレーム(薄ラケ)は自分の力でコントロールする感覚が強くなります。
- ストリングパターン: 16×19(標準)か18×20(コントロール重視)か。スピンをかけたいならウィルソン ウルトラ 100のような、目が粗めのモデルが扱いやすいでしょう。
レベル別・今選ぶべき27インチのおすすめモデル
【初心者・初中級者】楽に飛ばしてテニスを楽しむ
まずはボールを相手コートに返す楽しさを味わいたいなら、圧倒的なパワーを誇るバボラ ピュアドライブが筆頭候補です。黄金スペックの代名詞的存在で、どんなスイングでもボールを飛ばしてくれる「助け」を感じられます。
【中級〜競技者】正確なコントロールと打球感を求める
自分のスイングでコースを打ち分けたいなら、ヘッド スピード MPをおすすめします。適度なしなりがあり、ボールを「掴んで放す」感覚が手に取るように分かります。
【女性・ジュニアからの移行】扱いやすさを追求
27インチの長さに慣れるまでは、ダンロップ CX 400 PINKのような軽量かつ振動吸収に優れたモデルを選ぶと、体への負担を最小限に抑えつつステップアップできます。
最後に:自分だけの「黄金」を見つけるために
27インチはあくまで「キャンバスの大きさ」に過ぎません。その上にどんなガットを張り、どんなテンションで仕上げるか、そして何より自分のプレースタイルに合っているかが重要です。
もし迷ったら、まずはヨネックス VCORE 100のような、スピンとパワーのバランスが良い「ど真ん中」のモデルを試打してみてください。そこを基準にすることで、「もう少し軽い方がいい」「もう少し飛びを抑えたい」といった自分の本当のニーズが見えてくるはずです。
27インチという相棒を手に入れたとき、あなたのテニスはもっと自由で、もっと攻撃的なものに変わるでしょう。


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