ソフトテニスの後衛プレーヤーにとって、ヨネックスの「8S」という響きは特別なものがあります。シリーズ最高峰のスペック、研ぎ澄まされた打感、そして何より「この一本を使いこなしたい」と思わせる圧倒的な存在感。しかし、いざ手に取るとなると「硬すぎて飛ばないのではないか」「自分にはまだ早いのではないか」という不安がつきまとうのも事実です。
今回は、歴代の8Sシリーズを使い込んできた筆者が、ボルトレイジ 8Sやレーザーラッシュ 8Sのリアルな使用感を、忖度なしの「生の声」としてお届けします。
1. スペック数値には表れない「8S」の真実
カタログスペックを見れば、全長690mm、バランスポイント平均290mmといった数字が並びます。しかし、実際にコートで振ってみて最初に感じるのは、数字以上の「芯の強さ」です。
ボルトレイジ 8Sを初めて手にした時、素振りの段階では驚くほど軽く、振り抜きが良いことに驚きました。しかし、実際に生きたボールを打つと、フレームの剛性がガツンと手に伝わります。これは決して不快な振動ではなく、自分のパワーが1ミリも逃げずにボールに伝わっている感覚です。「ラケットに助けてもらう」のではなく、「自分のスイングを120%ボールに乗せる」ための道具なのだと再認識させられました。
2. 【実体験】コートで感じた衝撃の打球感
レーザーラッシュ 8Sからボルトレイジ 8Sに持ち替えた際、最も大きな変化を感じたのは「弾きと球持ちの絶妙なバランス」でした。
鋭いシュートボールの快感
ベースライン際からのシュートボールを打った際、ボルトレイジ 8Sはボールがストリング面に一瞬沈み込み、そこから一気に弾き出される感覚があります。以前使っていたジオブレイク 80Sが「包み込んで運ぶ」感覚なら、8Sは「切り裂いて飛ばす」イメージ。相手のコート深くで急激に沈むドライブのかかり具合は、一度味わうと病みつきになります。
厳しい展開での操作性
驚いたのは、追い込まれた時のロビングのコントロールです。これだけ硬いラケットだと、当てるだけでは飛ばないイメージがありましたが、ボルトレイジ 8Sは面がブレないため、手首の返しだけでコースを狙い撃つことができました。ただし、スイートスポットを外した時の「打球の失速感」はシビアです。自分の技術的な未熟さをラケットが教えてくれるような、まさに指導者のような一本と言えます。
3. 前モデルや競合モデルとの決定的な違い
「ボルトレイジ 7Sで十分ではないか?」という議論はよく耳にします。確かに7Sは扱いやすく、誰にでも推奨できる名器です。しかし、試合の終盤、体力が削られた場面で「もう一歩踏み込んで叩きたい」という時、ボルトレイジ 8Sの爆発的な反発力が武器になります。
かつての名器ネクシーガ 80Sを愛用していた方なら、ボルトレイジ 8Sへの移行はそれほど難しくないでしょう。むしろ、現代のスピードテニスに合わせた球離れの速さに、進化を感じるはずです。
4. このラケットを使いこなすためのガット設定
8Sの性能を引き出すには、ガット選びが生命線です。筆者は当初、サイバーナチュラル シャープを28ポンドで張っていましたが、打感が硬すぎて腕への負担を感じました。
最終的に行き着いたのは、V-アクセルを少し緩めの26ポンドで張る設定です。ラケット自体の剛性が高いため、ガットで少し柔らかさを出すことで、食いつきが向上し、より多彩な配球が可能になりました。もし「硬すぎる」と感じている方がいれば、ガットを弾き系から球持ち系に変えるだけで、化ける可能性があります。
5. 結論:あなたが手にするべきは「8S」か?
このラケットは、万人に受ける優等生ではありません。しかし、以下のようなプレーヤーにとっては、最高のパートナーになることを約束します。
- スイングスピードに自信があり、自分の力でねじ伏せたい人
- ボールのスピードで相手を圧倒し、前衛を突き破りたい後衛
- 「ラケットに負けない」という強い意志を持って練習に励める人
ボルトレイジ 8Sを使いこなした先には、他のラケットでは決して到達できない「鋭い一撃」が待っています。もし迷っているなら、勇気を出してその扉を叩いてみてください。コートの景色が、昨日までとは違って見えるはずです。


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