卓球を続けていると、一度は「最高の打球感」という言葉に憧れを抱く瞬間があります。カーボンラケットの圧倒的なスピードも魅力的ですが、自分の意志がボールに100%伝わるような、あの繊細な感覚。それを具現化したのがニッタク アコースティックです。
発売から20年以上が経過してもなお、トップ選手から愛好家までを虜にし続けるこのラケット。今回は、実際に私が使い込んで感じた生の声を中心に、その真価を徹底的に掘り下げます。
弦楽器製法がもたらす「手に響く」心地よさ
アコースティックを語る上で外せないのが、弦楽器の製造技術を応用した独自の接着技術です。一般的なラケットの打球感が「コンッ」という乾いた音だとすれば、このラケットは「芯まで響く」ような重厚な感覚があります。
初めて台に立った時、驚いたのはブロックのしやすさでした。相手の強打を吸収しつつ、指先に伝わる適度な振動が、次のボールをどこに運ぶべきか教えてくれるような感覚。まさにラケットが自分の体の一部になったかのような一体感です。
【体験談】唸るような回転。ドライブで感じた「掴む」快感
私が特に感動したのは、中陣からの引き合いです。最近の特殊素材ラケットは勝手にボールが飛んでいってしまい、回転をかける前に離れてしまうことがありますが、アコースティックは違います。
板全体がしなり、ボールをグッと深く掴んでから放たれるドライブは、バウンド後に沈み込むような「重い」球質になります。ループドライブを打った際、相手がオーバーミスを繰り返すのを見て、このラケットの回転性能の高さに確信を持ちました。スピードだけで押すのではなく、回転量とコース取りで翻弄する快感は、このラケットならではの醍醐味です。
意外なパワー。木材5枚合板の限界を超えて
「木材5枚合板だと飛距離が足りないのでは?」という不安もありましたが、アコースティックはその予想を裏切ってくれました。芯で捉えた時の弾きは非常に力強く、前陣でのスマッシュも鋭く突き刺さります。
もちろん、最新のインナーカーボンモデル等に比べれば最大風速は劣るかもしれません。しかし、ミート打ちとドライブを使い分ける際の「操作性の高さ」が、結果的にラリー戦での勝率を引き上げてくれるのです。
相性の良いラバー:自分だけの一本を作る
このラケットの素晴らしさは、ラバーの個性を殺さない懐の深さにあります。
- ファスタークG-1との組み合わせ:王道のセットアップです。打球感がより明確になり、どこに当たっても安心感のあるプレーが可能です。
- キョウヒョウ等の粘着ラバー:「しなり」と粘着の「掴み」が相乗効果を生み、驚異的な回転量を生み出します。馬龍選手がかつて愛用していたことからも、そのポテンシャルの高さが伺えます。
結論:打球感にこだわりたい全てのプレーヤーへ
ニッタク アコースティックは、決して「楽をさせてくれる」ラケットではありません。しかし、自分の技術が上達すればするほど、それに応えてくれる深みがあります。
ただボールを打ち返す作業ではなく、指先でボールを感じ、操る楽しさを思い出させてくれる。一度この「弦楽器の調べ」を知ってしまったら、もう他のラケットには戻れないかもしれません。道具にこだわり、卓球というスポーツを心から楽しみたいあなたに、ぜひ手にとってほしい一本です。


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