「ガシャッ!」
静かなコートに響く、あの嫌な音。ダブルスでパートナーとラケットが激突した瞬間や、足元の低いボレーを拾おうとしてフレームをハードコートにこすりつけた瞬間、頭の中が真っ白になりますよね。お気に入りの一本であればあるほど、その絶望感は計り知れません。
私も以前、買ったばかりのテニスラケットを初日の練習で地面にぶつけ、塗装がベリッと剥がれたときは、その後の練習内容を一切覚えていないほどショックを受けました。しかし、結論から言えば、その「傷」がすべて命取りになるわけではありません。
今回は、数々のラケットを傷つけてきた(そしてショップ店員に泣きついてきた)私の実体験をもとに、使い続けていい傷と、即刻買い替えるべき「致命傷」の見分け方を徹底解説します。
その傷、本当に大丈夫?プレイヤーを不安にさせる「傷」の正体
ラケットの傷には、単なる「見た目の問題」と「構造的な破壊」の2種類があります。多くの人が陥りがちなのが、小さな塗装剥げを深刻に捉えすぎてプレーが消極的になったり、逆に致命的なヒビを見逃して手首を痛めたりすることです。
1. 塗装剥げ・チップ(レベル:★☆☆☆☆)
これはテニスやバドミントンをしていれば避けて通れない「勲章」のようなものです。フレームの表面を覆っているカラー塗装がパチンと剥がれる現象です。
- 体験談: 私は以前、これを気にするあまりマニキュアで似た色を塗って誤魔化したことがありますが、性能には1ミリも影響しませんでした。カーボン繊維が見えていなければ、そのまま使い続けて全く問題ありません。
2. 深い擦り傷(レベル:★★☆☆☆)
クレーコートやオムニコートで、スライスの練習中に地面を削ってしまうと発生します。表面がザラザラになり、少し毛羽立ったような状態です。
- 判断のコツ: 指の腹で触ってみて、段差が鋭利でなければセーフです。あまりに気になる場合は、エッジガードを上から貼って、これ以上の悪化を防ぐのが賢い選択です。
3. 異音を伴う傷(レベル:★★★★☆)
見た目は小さな傷に見えても、打球時に「ビーン」という嫌な振動が残ったり、ラケットを振ると中で「カラカラ」と音がしたりする場合は要注意です。これは内部のカーボン層が剥離しているサインかもしれません。
- 体験談: 「まだ使える」と言い聞かせて異音のするラケットを使い続けた結果、インパクトの瞬間に妙な衝撃が手首に走り、数ヶ月間テニス肘 サポーターが手放せなくなった苦い経験があります。体のケアを考えれば、この段階で勇気ある撤退(買い替え)を検討すべきです。
4. クラック:ひび割れ(レベル:★★★★★)
これは文句なしの「寿命」です。特にフレームの内側(ストリングが通っている付近)に横方向の線が入っている場合は危険です。
- 見分け方: 塗装のひびか、本体のひびか迷ったら、爪の先で軽くひっかいてみてください。溝が深く、フレーム自体が歪んでいるように見えたらアウトです。ガットを張り替える際の数キロという張力(テンション)に耐えられず、ストリングマシンの上でバキッと粉砕する恐れがあります。
大切な一本を自力でケアする方法
もし傷が「塗装剥げ」程度であれば、自分でお手入れをすることで愛着も湧きます。
- 保護: 車用のタッチアップペンや、模型用の塗料を使うと、遠目には目立たなくなります。
- 予防: 傷つくのが怖い方は、あらかじめヨネックス エッジガードなどの保護テープを貼っておきましょう。これ一枚で、地面との接触によるダメージの8割はカットできます。
修理は出すべき?それとも買い替え?
最近ではカーボン補修を行う専門業者も存在します。思い入れのある廃盤モデルなら検討の価値がありますが、補修するとどうしても「重さ」と「バランス(静止重量とスイングウェイト)」が変わってしまいます。
競技志向の方であれば、修理に1万円以上かけるよりも、最新のバドミントンラケットやテニスラケットを新調したほうが、結果的に上達の近道になることが多いのも事実です。
まとめ:傷は「攻めた証」でもある
ラケットの傷は、あなたがそれだけボールを必死に追いかけ、果敢にプレーした証拠でもあります。
- カーボン繊維に達していない表面の傷は、気にせず振り抜く。
- 打球感の変化や異音がしたら、怪我をする前にショップへ相談する。
この2点を守るだけで、ラケット選びやメンテナンスの悩みはグッと軽くなるはずです。傷跡を気にするよりも、次はどうやってあのボールを拾うか。前向きな気持ちで、またコートに立ちましょう。


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