テニスやバドミントンを真剣に続けていると、一度は憧れるのが「ラケット契約」です。メーカーのロゴが入ったバッグを背負い、最新のギアを無償で提供される姿は、周囲の視線を変える特別なステータス。しかし、その華やかなイメージの裏には、契約選手だからこそ味わう葛藤や、一般には出回らない泥臭い仕組みが存在します。
今回は、実際に契約を勝ち取った選手の体験談を交えながら、ラケット契約の全貌と、あなたが次に取るべきアクションを深掘りします。
そもそも「ラケット契約」とは何を指すのか
ラケット契約とは、スポーツメーカーが選手に対して自社製品を提供し、その対価として選手が試合や練習でその製品を使用・宣伝するパートナーシップです。
一口に契約と言っても、その内容はピラミッド構造になっています。
- フルスポンサー(A契約): ラケットからウェア、シューズ、小物に至るまで全用品が無償提供されます。遠征費のサポートが出ることもあります。
- 用品提供(B契約): ラケット数本とガット、バッグなどが提供されます。ウェアは自前というケースも少なくありません。
- モニター・特別割引契約: 提供ではなく、一般販売価格よりも大幅に安く購入できる権利です。ジュニアや学生の有望株に多い形態です。
【体験談】契約を手にして変わったこと、感じたプレッシャー
実際に契約を結ぶと、生活は一変します。最大のメリットは、消耗品にかかる圧倒的なコストカットです。
例えばテニスの場合、激しい練習をすればガットは数日で切れます。定価で買えば一回数千円。これが年間で積み重なれば、数十万円という出費になります。契約選手になれば、これらがメーカーから定期的に送られてくるため、親御さんや自身の経済的負担は劇的に軽くなります。
しかし、良いことばかりではありません。ある選手はこう語ります。「ヨネックス ラケットの契約をもらった当初は最高に嬉しかった。でも、調子が落ちて別のモデルを試したいと思っても、他社のラケットを持つことは絶対に許されない。契約という『鎖』が、時にプレッシャーになることもあります」
また、メーカーの担当者が試合を見に来る際の緊張感は、通常の試合以上です。「結果を出さなければ契約を切られるかもしれない」という危機感は、選手を強くもしますが、同時にメンタルを削る要因にもなり得るのです。
契約を勝ち取る選手に共通する「3つの力」
メーカーは単に「試合が強い人」だけを探しているわけではありません。今の時代、重要視されるのは以下の3点です。
1. 圧倒的な戦績と「伸びしろ」
これは大前提です。全国大会出場や都道府県ランキング上位など、数字で示せる実績が必要です。特にジュニア層では、現在の実力以上に「将来プロになる可能性があるか」という伸びしろが評価対象になります。
2. コミュニティ内での影響力(発信力)
最近ではSNSでの発信力も無視できません。InstagramやYouTubeで多くのフォロワーを持ち、自社製品をポジティブに広めてくれる選手は、メーカーにとって歩く広告塔です。「あの人が使っているバボラ ピュアドライブが欲しい」と思わせる力があるかどうかです。
3. ブランドを背負うに相応しい「人間性」
どれだけ強くても、コートでラケットを投げたり、審判に暴言を吐いたりする選手に、メーカーは自社の看板を預けません。丁寧な挨拶、道具を大切に扱う姿勢、感謝を言葉にできる能力。これら「人間力」が最終的な決め手になるケースは多々あります。
どうすれば契約のチャンスを掴めるのか
もしあなたが、あるいはあなたのお子さんが契約を目指しているなら、まずは「自分のプロフィール」を整理することから始めてください。
多くの選手はスカウトを待ちますが、自分から動くことも重要です。自分の戦績、活動内容、今後の目標をまとめた資料を作成し、メーカーのカスタマーセンターや、地域の大きなスポーツショップの店長に相談してみてください。特に、地元に密着したショップはメーカーの営業担当と太いパイプを持っているため、そこからの推薦でモニター契約が決まることは珍しくありません。
テニスバッグを新調する前に、まずは今の実力でどんな貢献がメーカーにできるのか、一度冷静に分析してみるのが近道かもしれません。
結論:契約はゴールではなく「パートナーシップ」の始まり
ラケット契約は、ゴールではありません。むしろ、メーカーという心強いパートナーを得て、より高いステージへ挑戦するためのスタートラインです。
道具を無償で受け取るということは、そのブランドの価値を高める責任を負うということ。その自覚を持ってコートに立つ選手こそが、長く、そして手厚いサポートを受け続けることができるのです。
あなたは、どのブランドと共に頂点を目指したいですか?その第一歩は、今日からの練習態度や、周囲への感謝の伝え方を変えることから始まっています。


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