テニスのレベルが上がってくると必ず直面するのが、「ツアー(TOUR)」や「プロ(PRO)」と名のつくラケットへの憧れと不安です。「プロ仕様の方がかっこいいけれど、自分に使いこなせるのか?」「ツアーモデルなら楽に飛ばせるのか?」といった疑問は、テニスプレーヤーなら誰もが一度は抱く道でしょう。
私自身、長年さまざまなスペックを渡り歩き、時には背伸びをして重いモデルを選んで肘を痛めたこともあれば、軽すぎるモデルで打ち負けて悔しい思いをしたこともあります。そんな実体験に基づき、スペック表の数字だけでは分からない「本当の使用感の違い」を紐解いていきます。
スペック表には載らない「振った時」の決定的な違い
一般的に、ツアーモデルは300g前後、プロモデルは310g〜315g以上という設定が多いですが、実際にコートで振ってみると、その15gの差は数字以上に大きく感じられます。
まずテニスラケットのツアーモデルを手に取ると、スイングの「軽やかさ」に驚くはずです。操作性が高く、ボレーの咄嗟の反応や、走り込まされた時のリカバリーショットでその恩恵を強く感じます。私が以前メインで使っていたバボラ ピュアドライブのツアー系モデルは、中盤戦以降で体力が削られてきても、最後までしっかり振り抜ける安心感がありました。
一方で、プロモデル——例えばウィルソン プロスタッフやヘッド プレステージのようなシリーズ——は、手に持った瞬間から「ズッシリとした安定感」が伝わってきます。これは単なる重さではなく、フレームの剛性の高さから来るものです。相手の時速100kmを超えるようなハードヒットをブロックした際、ツアーモデルなら面がブレてしまう場面でも、プロモデルは「ビシッ」と一本の芯が通ったように弾き返してくれます。この「打ち負けない感覚」こそが、競技者がプロモデルを愛用する最大の理由です。
【実録】私がプロモデルからツアーモデルへ転向した理由
ある時期、私は「もっとパワーが欲しい」と考え、より重量のあるヨネックス VCORE PROの重量級モデル(現ヨネックス PERCEPT)に手を出しました。練習開始の15分間は最高でした。重さを利用したエグい伸びのあるショットが打て、コントロールも抜群。「これこそが求めていたラケットだ」と確信したものです。
しかし、試合形式の練習が始まると状況は一変しました。
3セット目に入ると、ラケットの重さが鉛のように感じられ、スイングスピードが目に見えて落ちてきたのです。結果として、振り遅れが増え、スピン量が減り、アウトを連発。さらに、無理に振り切ろうとした結果、手首と肘に違和感を覚えるようになりました。
この体験から学んだのは、「ラケットは自分が最も疲れている時に振り切れる重さで選ぶべきだ」ということです。現在は、少しだけ軽いツアーモデルをベースにしつつ、リードテープ(重り)で微調整するスタイルに落ち着いています。
あなたにぴったりのモデルを見極めるチェックリスト
どちらを選ぶべきか迷っているなら、以下の「体験ベース」の基準で考えてみてください。
ツアーモデルが最適な人
- 週1〜2回のプレーで、最後まで楽しく打ち切りたい
- スピンを多用し、自分から積極的にラケットを加速させたい
- ダブルスがメインで、ネットプレーでの操作性を重視する
- ダンロップ CXやプリンス ビーストの標準モデルを軽快に使いたい
プロモデルが最適な人
- 相手の速球に打ち負けたくない、重厚な打球感を求めている
- 週4回以上のハードな練習に耐えられる筋力と体力がある
- 強打した時の「ボールが潰れる感触」を味わいたい
- テクニファイバー TF40のような、コントロール重視の硬派なモデルを好む
結論:名前に惑わされず「自分のスイング」に正直になろう
「プロ」という言葉には不思議な魅力がありますが、現代のテニスはより高速化・高弾道化しており、多くのトップアマチュアやジュニア選手も、扱いやすいツアーモデルを選択しています。
もしあなたが今、どちらにするか究極の選択を迫られているなら、まずはヨネックス EZONEのような、バランスの良いツアーモデルから試してみることを強くおすすめします。ラケットに振り回されるのではなく、あなたがラケットを自在に操れる感覚こそが、テニスを最も楽しくし、そして上達を早めてくれるからです。
ぜひ、ショップで試打ラケットを手に取り、できれば30分以上、それも少し疲れた状態で打ち比べてみてください。その時に「まだ振り切れる」と感じる方が、あなたの相棒にふさわしい一本です。


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