せっかくのテニスの時間、突然の雨に降られてラケットがびしょ濡れになってしまった経験はありませんか?「これくらいなら大丈夫だろう」とバッグに放り込み、翌日取り出してみたらグリップが異臭を放っていたり、ガットの打球感がまるでお餅のようにベタついていた……なんて悲劇は、テニスプレーヤーなら一度は通る道かもしれません。
雨に濡れたラケットを放置することは、大切な相棒の寿命を縮めるだけでなく、あなたのプレーの質を著しく低下させます。今回は、雨天プレーでの実体験を交えながら、愛用のラケットを守るための正しいメンテナンス術をご紹介します。
ラケットが濡れたまま放置するとどうなる?
まず知っておいてほしいのは、水分がラケットに与えるダメージの深刻さです。
- ガット(ストリング)の劣化: 特に天然素材の「ナチュラルガット」は最悪です。水分を吸うと一気に膨張し、乾くときに収縮するため、一晩でテンションがガタ落ちします。ナイロンやポリでも、編み目に入り込んだ水分が打球感を鈍らせます。
- グリップテープの滑りと異臭: 水分を含んだグリップは滑りやすく、そのまま乾かすと雑菌が繁殖して強烈な臭いを発します。
- フレーム内部への浸入: フレームの穴(グロメット)から内部に水が入ると、カビや内部劣化の原因になります。
【体験談】雨の日の練習を甘く見て後悔した話
あれは夏の夕立の中、オムニコートで練習を強行した時のことです。「少し濡れるくらいなら平気」と、水分をたっぷり含んだボールを打ち続けていました。次第にラケットが重く感じ始め、スイングのたびにグリップが手の中で「ヌルッ」と回る感覚に。結局、大事なポイントでラケットが手からすっぽ抜けそうになり、プレーどころではありませんでした。
さらにショックだったのは翌日です。しっかり拭かずにバッグへ入れていたため、翌朝ラケットを握ると、グリップから生乾きの嫌な臭いが……。ガットも表面が白っぽく毛羽立ち、打つたびに「ボコッ」という湿った音しかせず、結局その日のうちに張り替える羽目になりました。
濡れたラケットの正しいお手入れ手順(3ステップ)
雨から帰ったら、まずは自分のシャワーよりも先にラケットのケアをしてあげましょう。
1. 乾いた布で即座に水分を拭き取る
まずは表面の水分を徹底的に取り除きます。特にグロメット(ガットが通っている穴)の隙間には水滴が溜まりやすいので、タオルを押し当てるようにして吸い取ってください。
2. グリップテープを剥がす
表面のオーバーグリップが濡れている場合、中の元グリップ(リプレイスメントグリップ)まで浸透していることがほとんどです。思い切ってオーバーグリップを剥がし、芯までしっかり乾燥させましょう。巻き直す際は、吸水性に優れた ヨネックス ドライタッキーグリップ などのドライタイプが雨の日対策として非常に優秀です。
3. 日陰で「自然乾燥」させる
ここが最大のポイントです。バッグから出し、風通しの良い日陰でじっくり乾燥させてください。
やってはいけない!NGな乾燥方法
焦って乾かそうとして、以下のような行動をとるのは絶対にNGです。
- ドライヤーの熱風: カーボンフレームは熱に弱く、変形や強度の低下を招きます。
- 直射日光に当てる: 紫外線と急激な乾燥はガットの寿命を縮め、フレームの塗装剥がれの原因にもなります。
雨の日でも快適にプレーするための対策
どうしても雨の中で試合をしなければならない時は、事前準備が重要です。私は雨の予報がある日は、必ずグリップを「ドライタイプ」に巻き替えます。ウェットタイプは濡れるとヌルヌルしますが、ドライタイプは濡れることで逆にグリップ力が増すものがあるからです。
また、ガットの保護には ミラフィット ストリングガード のような撥水効果が期待できるアイテムをあらかじめ使用しておくのも一つの手です。
バッグの中には常に セームタオル を忍ばせておき、チェンジコートのたびにフレームとグリップを拭く習慣をつけるだけで、ラケットのダメージは最小限に抑えられます。
まとめ
ラケットが濡れることは避けられなくても、その後のケア次第で寿命は大きく変わります。「拭く・剥がす・陰干し」の3ステップを徹底して、大切な道具を最高のコンディションに保ちましょう。
道具を丁寧に扱うプレーヤーは、コート上でも丁寧なプレーができるものです。次の晴れた日の練習で最高のパフォーマンスを発揮するために、今日はお手入れの時間を大切にしてみてください。


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