ソフトテニスの歴史の中で、今なお多くのプレイヤーの記憶に刻まれている名器、それがヨネックス ネクステージ(NEXTAGE)シリーズです。かつてコートを席巻したこのシリーズは、なぜこれほどまでに愛されたのか。そして、最新のラケットが溢れる現代において、その使い心地はどうだったのか。
私自身が長年コートで振り抜いてきた実体験と、多くの愛好家の声を交えながら、その唯一無二の魅力を深掘りしていきます。
ネクステージが教えてくれた「球持ち」の快感
初めてネクステージ 80Sを握った時の衝撃は、今でも右手に残っています。現在の主流であるジオブレイクやボルトレイジのような「弾き」を重視したラケットとは対極にある、吸い付くようなホールド感。
インパクトの瞬間、ボールが一度フレームの中にググッと沈み込み、そこから狙った場所へ押し出していくような感覚です。この「一瞬のタメ」があるおかげで、シュートボールのコントロール精度が格段に上がり、ライン際を攻める勇気をくれました。
特にネクステージ 70Sやネクステージ 50Sは、中学生や高校生にとっても「自分の力でボールを操っている」という確信を与えてくれる名作でした。
実際のプレイで感じたメリットと「あの打球音」
ネクステージシリーズを使い込んで感じた、生々しい体験談をまとめます。
- 唸るようなドライブ: ボールを包み込む時間が長いため、強烈な順回転をかけやすいのが特徴。ベースライン付近でグンと沈む打球は、相手にとって驚異でした。
- 疲れにくい打球感: 「カップスタック型カーボンナノチューブ」の恩恵か、硬いラケットにありがちな「肘への嫌な振動」が驚くほど少なかったです。一日中練習しても、腕への負担が軽く感じられました。
- あの独特な「音」: 芯を食った時の「パチーン!」という乾いた、それでいて重厚な音。あの音を聞くためだけに、毎日壁打ちに励んでいた時期があったほどです。
現代のラケットと何が違うのか?
今のラケットは、素材の進化により「少ない力で速いボールを飛ばす」ことに特化しています。一方で、ネクステージは「プレイヤーの意思を100%ボールに伝える」ことに重きを置いていたように感じます。
もちろん、最新のエフレーザーなどと比較すれば、スピード性能では劣るかもしれません。しかし、ダブルスの前衛でボレーのコースをミリ単位で調整したい時や、後衛で粘り強くラリーを続けたい時には、今でもネクステージの「しなり」が恋しくなります。
結論:ネクステージの魂はどこへ向かうのか
現在、ネクステージシリーズは生産を終了しており、手に入れるには中古市場を探すしかありません。しかし、その操作性のDNAは、確実に現代のヨネックスのラケットたちに受け継がれています。
もしあなたが、今のラケットに「弾きすぎてコントロールしにくい」という悩みを抱えているなら、一度ネクステージのような粘り強いラケットの感覚を思い出してみてください。
ガットのテンションを少し落としてみたり、柔らかい素材のグリップテープに変えてみるだけで、あの伝説の操作感に近づけるかもしれません。道具へのこだわりこそが、ソフトテニスをより深く、楽しくする一番のスパイスなのです。


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