魔法の打球感、ラケットに宿る「羊の腸」の正体。ナチュラルガットが愛され続ける理由

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テニスコートで隣のコートから「パコーン!」という、まるで乾いた楽器のような澄んだ音が聞こえてきたことはありませんか?その音の主は、おそらくナチュラルガットを使っているはずです。

「羊の腸をラケットに張るなんて、今の時代に古くない?」と思うかもしれません。しかし、最新のテクノロジーを駆使した化学繊維が束になっても敵わない、圧倒的な「体験」がそこにはあります。今回は、一度味わうとナイロンには戻れなくなる、ナチュラルガットの魔力について、私の体験を交えてお伝えします。

なぜ「羊の腸」と呼ばれるのか?その驚きの正体

まず、現代のナチュラルガットのほとんどは、実は羊ではなく「牛の腸」から作られています。かつて羊の腸(シープ)を使っていた名残で今もそう呼ばれていますが、1張りのガットを作るのに、なんと牛3〜4頭分の腸が必要になります。

この希少な天然素材を手作業で洗浄し、ねじり合わせ、数ヶ月かけて乾燥・コーティングしてようやく1本のガットが出来上がります。この「命の繊維」とも言える密度が、人工物には出せない独特の粘りと弾力を生むのです。

【体験】打った瞬間にわかる「ボールを掴む」感覚

私が初めてバボラ タッチトニックを愛機に張ってコートに立った時の衝撃は、今でも忘れられません。

それまで使っていたナイロンガットが「パチン」と弾く感覚だとしたら、ナチュラルは「グニュッ」とボールを飲み込み、そこから「ドヒュン!」と凄まじい復元力で押し出してくれる感覚です。いわゆる「ホールド感」が別次元なのです。

  • 衝撃が消える: 硬いポリガットで肘を痛めかけていた私にとって、ナチュラルの衝撃吸収性は救世主でした。打球時の嫌な振動が手に残らず、体の一部になったような一体感があります。
  • 音が変わる、テニスが楽しくなる: 芯を捉えた時の「パコォォン」という高音は、打っている本人に最高のカタルシスを与えてくれます。この音を聞きたいがために、もう一度コートに行きたくなる。そんな中毒性があります。
  • ボレーが止まる: ネットプレーでの繊細なタッチ。自分の指先でボールを操っているような感覚になるため、ドロップショットの精度が劇的に上がりました。

弱点さえも愛おしい?付き合い方のコツ

もちろん、この贅沢品には「弱点」もあります。それは、水と湿気に極端に弱いこと。

一度、小雨の中でウィルソン ナチュラルガットを使用したことがありますが、みるみるうちに繊維がささくれ立ち、翌日には魔法が解けたように「ボフッ」とした鈍い打球感に変わってしまいました。

また、価格もナイロンの3倍近くします。しかし、考えてみてください。週に一度の趣味の時間、その全ての打球が「至福の感覚」に変わるとしたら。その投資価値は十分にあると私は確信しています。

最高の体験を求めるあなたへ

もしあなたが、「最近テニスがマンネリ化している」「肘の負担を減らしたい」「もっと楽にボールを飛ばしたい」と感じているなら、迷わず一度ナチュラルガットを試してみてください。

「羊の腸(牛の腸)」という古くて新しい選択肢が、あなたのラケットを全く別の魔法の道具に変えてくれるはずです。まずはハイブリッド張り(縦か横のどちらかにナチュラルを使う)から始めて、その圧倒的な「球持ち」を体感してみてください。

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