「なんだか最近、思い通りのショットが打てない」「肘や手首に違和感がある」……そう感じたとき、多くのプレイヤーはガットのテンションを疑います。しかし、実はその原因、ラケットの「フレーム」にあるかもしれません。
ラケット選びにおいて、デザインやブランド以上に重要なのがフレームの特性です。私自身、かつて見た目だけで選んだ硬いフレームのラケットを使い続け、テニス肘に悩まされた苦い経験があります。今回は、プレイスタイルを劇的に変え、怪我を防ぐためのフレーム選びと、愛機を長持ちさせる秘訣を深掘りします。
1. ラケットフレームの基本:形状と素材がもたらす魔法
ラケットのフレームには、大きく分けて「ボックス形状」と「エアロ(楕円)形状」の2種類が存在します。
ボックス形状は、断面が四角形に近いタイプ。打球時にフレームが適度にしなり、ボールを「掴む」ようなホールド感が得られます。コントロール重視のプレイヤーに愛される形状です。一方で、エアロ形状は空気抵抗を抑えた流線型。スイングスピードが上がりやすく、弾き飛ばすパワーに優れています。
素材についても、主流のカーボンだけでなく、グラファイトや高弾性素材を組み合わせることで、各メーカーが独自の打球感を演出しています。例えばヨネックス独自のアイソメトリック形状は、スイートスポットを広げる魔法のようなフレーム設計として有名です。
2. 【体験談】フレーム選びで学んだ「スペック以上に大切なこと」
テニスを始めたばかりの頃、私は「プロが使っているから」という理由だけで、非常に薄くて硬いフレームのモデルを選びました。競技者向けのそのラケットは、確かに芯で捉えた時の威力は抜群でしたが、少しでも打点がずれるとフレームの硬さがダイレクトに腕に響きました。結果、数ヶ月後には重度のテニス肘になり、ラケットを握ることすら辛い時期を過ごしました。
その後、ショップの店員さんに相談し、適度な厚みと「しなり」があるバボラの黄金スペックモデルに買い替えたところ、驚くほど楽にボールが飛ぶようになったのです。
この経験から学んだのは、フレーム選びは「自分の筋力」と「インパクトの感覚」に正直になるべきだということです。カタログの「パワーレベル」という数字よりも、実際に振った時の空気抵抗や、打球時の不快な振動がないかどうか。これこそが、長く楽しくプレイするための正解でした。
3. 知っておきたい!フレームの寿命と「目に見えない劣化」
ラケットのフレームは一生モノではありません。たとえ傷がなくても、使い続けるうちに素材の結合が弱まり、いわゆる「コシが抜けた」状態になります。
プロレベルであれば数ヶ月、一般プレイヤーでも週2〜3回のプレイなら2年程度が買い替えの目安と言われています。私が以前使っていたラケットも、ある日突然「打球音が鈍くなった」と感じ、ショップで診てもらうとフレーム内部に微細なクラック(亀裂)が入っていました。そのまま使い続けると、ガットを張り替える際の圧力でフレームが粉砕する恐れもあります。
以下のサインが出たら、フレームの寿命を疑いましょう。
- 以前よりもボールが飛ばなくなった。
- 打球音が「パコッ」という湿った音に変わった。
- グロメット付近のフレームに陥没が見られる。
4. 愛機を長く使うために。フレーム保護の鉄則
お気に入りのラケットを1日でも長く使うために、今日からできるメンテナンスがあります。
まず、エッジガード(保護テープ)の貼付です。特にダブルスでパートナーと接触したり、低い球を拾う際に地面に擦ったりする可能性があるなら必須と言えます。フレームの塗装が剥げるのを防ぐだけでなく、素材への直接的なダメージを大幅に軽減してくれます。
また、意外と盲点なのが「保管場所」です。夏場の車内に放置するのは絶対にNG。カーボン素材は熱に弱く、高温下ではフレームが歪んだり、強度が著しく低下したりします。私はこれで一本、大切なラケットのフレームを歪ませてしまいました。
5. まとめ:フレームはプレイヤーの「身体の一部」
ラケットフレームは、単なるガットの枠ではありません。あなたのパワーを伝え、衝撃を吸収する「身体の延長」です。自分のプレイスタイルが「コントロール」なのか「パワー」なのかを見極め、実際に手に取ってその感覚を確かめてみてください。
もし今、自分のテニスに行き詰まりを感じているなら、一度ラケットのフレームを見直してみてはいかがでしょうか。新しいフレームとの出会いが、あなたのテニスライフを一段上のステージへ連れて行ってくれるはずです。


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