「カーボン全盛期の今、あえて木材ラケットを選ぶ意味はあるのか?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。しかし、実際に数多くのラケットを試打し、試合で使い込んできた経験から言わせてもらうと、木材ラケットにしか出せない「ボールを支配している感覚」こそが、上達の最短ルートであり、卓球の醍醐味です。
指先に伝わる微細な振動、インパクトの瞬間にグッと球を掴む感触。これらは特殊素材ではどうしても希薄になりがちです。今回は、各木材の特徴を私のリアルな試打体験とともにお伝えします。
卓球ラケットにおける「木材」選びが重要な理由
卓球において、ラケットは手の一部です。特に木材ラケットは、自分のスイングの力がダイレクトに球に伝わり、逆に球の回転や重さが手に伝わってきます。
カーボンなどの特殊素材は、軽く当てても飛んでいく「オートマチックさ」がありますが、木材は自分の意志で飛ばす「マニュアル車」のような面白さがあります。ドライブを打った際、板が適度にしなり、ボールを包み込んでから放たれるあの感覚は、一度味わうと病みつきになります。自分の技術を磨きたい、繊細な台上操作で相手を翻弄したいというプレイヤーにとって、木材の選択は勝敗を分ける重要なポイントです。
【体験談ベース】主要なラケット木材 5選とそれぞれの特徴
1. リンバ (Limba) —— ヨーロッパ製ラケットの定番
多くの名作ラケットの外板に使用されているのがリンバです。
【体験】: 実際に打ってみると、表面がしっとりと柔らかいのが分かります。強めにインパクトした時、ボールがラケットに食い込む時間が長く、回転をかける感覚が非常に掴みやすい。ループドライブを主体にするなら、迷わずリンバ系のラケット、例えば コルベル を選ぶのが正解です。
2. コト (Koto) —— スピード重視の外板素材
リンバに比べて硬く、シャープな打球感が特徴です。
【体験】: 打球音が「パチッ」と高く、直線的な弾道になりやすいです。自分から攻め込む際のスピード感は抜群で、前陣でパンチの効いたカウンターを狙う選手に最適。代表的なのは ヴィスカリア の外板にも使われていますが、純木材なら SK7クラシック などがその鋭さを体感させてくれます。
3. アユース (Ayous) —— 合板の芯材の王様
アフリカ産の大木から採れる素材で、多くの合板ラケットの「核」となっています。
【体験】: 芯材として使われると、打球時に心地よい「重低音」が手に響きます。強打した時にスカスカせず、しっかりとボールを押し返してくれる粘り強さがあります。攻撃と守備のバランスが非常に高く、玄人好みの素材と言えるでしょう。
4. 桧(ヒノキ/Hinoki) —— 日本が誇る最高級素材
弾みと柔らかさという、相反する要素を高い次元で両立しています。
【体験】: 桧単板の サイプレスG-MAX を使った時の衝撃は今でも忘れません。吸い付くような柔らかさがあるのに、振り抜いた瞬間にロケットのように球が飛び出します。独特の芳香も相まって、五感で卓球を楽しめる最高の素材です。
5. 桐(キリ/Kiri) —— 軽量化の鍵
多くのラケットの中芯として採用されている、非常に軽量な木材です。
【体験】: 手に持った瞬間の「軽さ」に驚きます。切り替えを速くしたい選手や、重いラバーを貼りたい場合には重宝します。ただし、湿気に弱く、梅雨時期などは少し打球感がモヤッとすることがあるため、管理には気を遣う必要があります。
5枚合板 vs 7枚合板:枚数によるフィーリングの違い
木材の種類だけでなく、「何枚重ねるか」で性格は激変します。
- 5枚合板: 板が薄いため、とにかく「しなる」感覚が強いです。自分の力で一生懸命回転をかけている実感が持てるので、初心者から中級者が基礎を固めるにはこれ以上ない選択です。
- 7枚合板: 板が厚くなり、しなりが抑えられる分、反発力が強まります。木材の打球感を残しつつも、プラスチックボールに打ち負けないパワーが欲しいなら クリッパーウッド のような7枚合板がベストな選択肢になります。
失敗しない!木材ラケットの選び方 3ステップ
- 打球音と振動の好みを自覚する: 手に響く振動が嫌いな人は厚めの7枚合板、振動を情報として捉えたい人は薄めの5枚合板を選びましょう。
- 上板の硬さをプレースタイルに合わせる: ドライブをかけたいなら柔らかいリンバ、ミート打ちを混ぜたいなら硬いコトです。
- 個体差を受け入れる: 同じ スワット でも、木材なので重さが5g以上違うことも珍しくありません。通販で買う際も、できれば重量指定ができるショップを探すと失敗が減ります。
まとめ:木材を知れば、卓球がもっと楽しくなる
ラケットの木材選びは、単なるスペック比較ではありません。自分の感性と、木が持つ個性をマッチングさせる作業です。
特殊素材の飛距離も魅力的ですが、自らの技術でボールを操る喜びを教えてくれるのは、間違いなく「木材」です。この記事を参考に、あなたの相棒となる最高の一本を見つけてください。
次は、選んだ木材ラケットに合わせる「ラバーの硬度」についても考えてみると、さらにあなたの卓球が進化するはずです。


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