「なんだか最近、打球感がぼやける」「オーバーグリップを替えても滑る気がする」……。そんな違和感を感じたら、それは「元グリップ(リプレイスメントグリップ)」の寿命かもしれません。
多くのプレーヤーがオーバーグリップの交換で済ませがちですが、実はラケットと手の接点である元グリップこそが、操作性の要。今回は、私が実際に数々のラケットを巻き替えて辿り着いた、失敗しない交換方法と、その劇的な変化についての体験談を余すことなくお伝えします。
1. 「まだ使える」はもう遅い?元グリップを替えるべき本当のタイミング
私が初めて元グリップを交換したのは、テニスを始めて3年目の夏でした。オーバーグリップを剥がした際、下の黒いスポンジがボロボロと剥がれ、手にも真っ黒なカスが付着。その瞬間、「あ、これじゃあクッションの役目を果たしていないな」と痛感したのです。
見た目の劣化も指標ですが、以下の感覚があれば即交換をおすすめします。
- 角が丸くなっている: グリップの「八角形」が手のひらで感じられなくなると、面出しが不安定になります。
- 重度のヘタリ: 握った時に、中の木(ウッド)やカーボンの硬さをダイレクトに感じすぎる状態です。
- 不快な臭いと湿り気: 長年の汗が蓄積した元グリップは、雑菌の温床。健康面でも衛生的ではありません。
2. 準備するもの:プロの仕上がりを支える道具たち
用意するのは、新しい元グリップだけではありません。仕上がりを左右するのは、実は「掃除」の道具です。
- 新しいリプレイスメントグリップ: 私は吸い付くようなフィット感のウィルソン プレミアムレザーや、クッション性の高いヨネックス リプレイスメントグリップを愛用しています。
- ハサミ: 最後の斜めカットに使用します。
- ステッカー剥がし、またはウェットティッシュ: 古いグリップの糊を完璧に除去するために必須です。
3. 実践!「新品の握り心地」を取り戻す交換ステップ
ステップ1:徹底的な「剥がし」と「清掃」
古いグリップを剥がすと、高確率でベタベタした糊が残ります。私の経験上、ここを適当にすると、新しいグリップを巻いた後に「ボコボコとした違和感」が残ります。指が痛くなるまで根気よく糊を丸めて取り除くか、市販のクリーナーできれいに拭き上げましょう。
ステップ2:巻き始めの「角度」が命
エンドキャップの端に合わせて、少しだけ重ねるようにして巻き始めます。ここで緩みが出ると、プレー中にグリップがズレてくる大惨事に繋がります。私は、親指でグッと押さえつけながら、最初の1周は「これでもか」というほど強く引いて固定します。
ステップ3:等間隔で「テンション」を維持する
巻き進める際、重ねる幅(約2〜3mm)を一定に保つのが美しく仕上げるコツです。私は少し細めの握りが好みなので、強めに引っ張りながら巻きます。逆に、クッション性を出したい時は、力を入れすぎず、ふんわりと重ねていきます。
4. 【体験談】レザーグリップへの変更で見えた新世界
もし、あなたが「もっと打球の情報が欲しい」と願う中上級者なら、合成樹脂からフェアウェイ レザーグリップのような本革(レザー)への変更を強くおすすめします。
私も実際に変更してみましたが、驚くほどラケットの角がハッキリ分かります。「今、面のどこで捉えたか」が指先から脳へダイレクトに伝わる感覚は、一度味わうと戻れません。ただし、少し重量が増して重心が手元に寄る(トップライトになる)ため、スイングスピードが上がる一方で、打ち負けない筋力も必要になると感じました。こうした「重量バランスの変化」を楽しめるのも、元グリップ交換の醍醐味です。
5. 失敗から学んだ「これだけはやるな!」3ヶ条
私の数々の失敗経験から、以下の3点だけは注意してください。
- 左利きの逆巻き忘れ: 左利きの人は、右利き用とは逆方向に巻かないと、指が段差に引っかかりません。私はこれで一度、新品を無駄にしました。
- フィニッシングテープのケチり: 最後に止めるテープが緩いと、そこから剥がれてきます。不安な場合は、ビニールテープで下巻きしてから付属テープを貼ると最強です。
- アンダーラップの過信: 太さを出そうとアンダーラップを巻きすぎると、手のひらとの一体感が失われ、ラケットが暴れる原因になります。
結論:元グリップ交換は、最もコスパの良い「チューニング」
たった2,000円前後の投資と15分の作業で、使い慣れたラケットが別物のようにシャキッと蘇ります。
自分で巻き替えたラケットには愛着が湧き、コートに立つモチベーションも格段に上がります。もし、今のラケットに「飽き」や「違和感」を感じているなら、新しいラケットを買う前に、まずは元グリップを剥がしてみてください。そこには、あなただけの理想の握り心地が待っています。


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