テニスを愛するプレイヤーにとって、避けて通れないのが「身体への負担」と「打球感」の悩みです。私もかつては、プロが使うようなキンキンに硬い競技モデルを使い、「これこそがテニスの醍醐味だ」と自分に言い聞かせていました。しかし、練習後に襲う肘の疼きと、冬場の凍えるような振動に耐えかね、ついに「柔らかいラケット」への転向を決意。その結果、テニス人生が劇的に変わりました。
今回は、実体験に基づいた「柔らかいラケット」の真のメリットと、絶対に失敗しない選び方を深掘りしていきます。
なぜ「硬いラケット」で挫折したのか?
私が以前使っていたのは、いわゆる「黄金スペック」の中でもフレームが厚く、反発性能が高いモデルでした。確かにボールは速くなります。しかし、少しでも芯を外すと、その衝撃がダイレクトに手首から肘へと突き抜ける感覚がありました。
「もっと楽に、もっとしなやかに飛ばしたい」
そんな切実な思いで、フレームが薄く、しなりを感じられるモデルへと持ち替えた時、最初に感じたのは「ボールを掴む」という未知の感覚でした。
柔らかいラケットがもたらす3つの「劇的変化」
1. 「点」ではなく「面」で運ぶコントロール感
硬いラケットは、当たった瞬間にボールを弾き飛ばします。一方、柔らかいラケットは、一瞬ボールがラケットに「乗る」感覚があります。このコンマ数秒のホールド感が、コースの打ち分けを驚くほど容易にしてくれました。「あそこへ運びたい」という意思が、そのまま打球に反映される快感は、一度味わうと病みつきになります。
2. 翌日に残らない「身体への優しさ」
これが最大の収穫でした。以前は週に3回練習すると、翌朝スマホを持つ手さえ重く感じていましたが、柔らかいラケットに変えてからは、あの不快な微振動が激減。特にWilson クラッシュのような、革新的なしなりを持つモデルを試した時は、ウッドラケット時代を彷彿とさせるマイルドさに驚愕しました。
3. ボレーのタッチが「魔法」のように変わる
ネット際での繊細なドロップショットや、深く沈めるボレー。これらはラケットの「柔らかさ」が最も活きる場面です。硬いラケットでは「弾きすぎてアウト」していたボールが、吸い付くような打球感によって、コート内に収まるようになりました。
失敗しないための「柔らかさ」の見極め方
一口に「柔らかい」と言っても、実は2つのタイプがあります。
- 「しなり」系: フレーム自体が弓のように曲がるタイプ。玄人好みの打球感で、スイングスピードが速い人ほど恩恵を受けます。
- 「振動吸収」系: 最新の素材技術で、衝撃だけをカットするタイプ。HEAD ブーンなどは、パワーを維持しつつ、不快な雑味だけを消してくれます。
選ぶ際は、自分のプレイスタイルが「自分から振っていくタイプ」か「相手の力を利用するタイプ」かを考えましょう。前者はしなり系、後者は振動吸収系がマッチします。
組み合わせるストリングで完成する「究極のソフト感」
ラケットが柔らかくても、張る糸(ストリング)が硬ければ意味がありません。私は、柔らかいラケットにテクニファイバー エックスワン バイフェイズのようなナイロンマルチを組み合わせることを強くおすすめします。
この組み合わせは、まさに「絹の打球感」。ポリガットの硬さに疲れた方にこそ、この「とろけるような打ち心地」を体験してほしいのです。
結論:テニスをもっと長く、もっと楽しく
「柔らかいラケットは飛ばない」「初心者が使うものだ」という先入観は、今すぐ捨ててください。現代のラケットは、ヨネックス VCORE PRO(現PERCEPT)のように、柔らかさと爆発的なパワーを両立したモデルが数多く存在します。
もしあなたが今、少しでも肘に違和感があるのなら、あるいは「ボールを操る感覚」をもっと楽しみたいのなら、勇気を持って「柔らかいモデル」を手に取ってみてください。その一歩が、10年後も笑顔でコートに立っていられるかどうかの分かれ道になるはずです。


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