テニスラケットを選ぶ際、重量やバランス、面サイズは必ずチェックするはずです。しかし、中上級者が密かに、かつ最も重視している指標をご存知でしょうか?それが**「RA値(フレームの硬さ)」**です。
カタログの隅に書かれているこの2桁の数字が、あなたの肘の運命や、試合の勝敗を分けるボレーの精度を左右すると言っても過言ではありません。今回は、主要モデルのRA値一覧と共に、実際に様々なラケットを打ち込んできた私の「体感」をベースにした選び方を解説します。
主要メーカー別:人気ラケットRA値一覧
数値はあくまで目安ですが、一般的にRA70以上が「硬い」、RA65前後が「標準」、**RA60以下が「柔らかい」**と分類されます。
| シリーズ名 | 代表モデル | 推定RA値 | 特徴 |
| Babolat | Pure Drive | 71〜72 | 圧倒的なパワーと弾き |
| Wilson | Ultra 100 | 70 | ボレーの安定感とスピード |
| YONEX | EZONE 100 | 67〜68 | 柔らかさと反発のバランス |
| YONEX | VCORE 100 | 66〜67 | スピンのかけやすさ重視 |
| Wilson | Blade 98 | 60〜62 | 究極のホールド感と制御 |
| HEAD | Prestige Pro | 58〜60 | しなりを活かした重い球 |
【体験記】RA値が変わるとプレーはどう激変するのか?
数値だけでは伝わらない「現場の感覚」を、私の体験からお伝えします。
1. RA70以上の「高剛性ラケット」を打った時
Pure Driveなどの高RA値モデルを手にした瞬間、まず感じるのは「スピードの暴力」です。サーブでは、軽く当てただけでボールが爆発するように飛んでいきます。
特に恩恵を感じるのはダブルスのボレーです。相手の強い突き球に対しても、面をセットするだけで面白いように深く返ります。
ただし、代償もあります。 オフセンター(芯を外した時)で打った瞬間の「ビン!」という衝撃。これを1試合続けると、翌日に手首や肘に違和感が出ることがありました。楽に飛ばしたい人には最高ですが、怪我を抱えている人は慎重になるべき数値です。
2. RA60前後の「しなり重視ラケット」を打った時
Blade 98やPrestigeなどの低RA値モデルを使い始めた時、最初は「全然飛ばない!」と絶望するかもしれません。
しかし、スイングスピードを上げていくと魔法がかかります。インパクトの瞬間にラケットがグニャリとしなり、ボールを包み込むような感覚。自分の意志でコースをミリ単位で操作できるような「全能感」は、低RA値でしか味わえません。
私はかつて、アウトを恐れて振れなくなる病に陥った際、あえてRA値の低いラケットに変えることで「思い切り振り抜いてもコートに収まる」という安心感を手に入れ、スランプを脱出した経験があります。
失敗しないRA値の選び方:自分の「感覚」を言語化しよう
RA値を選ぶ基準は、単純なスキルの高さだけではありません。
- 「当てて飛ばしたい」なら高RA値:筋力に自信がない方や、タッチボレーで勝負したい方はUltra 100のようなカッチリとしたモデルが味方してくれます。
- 「叩き潰してコントロールしたい」なら低RA値:自分のスイングでボールを潰したいハードヒッターや、肘に不安がある方はBlade 98のようなしなり系が理想です。
最後に忘れてはいけないこと
「RA値が高い=肘に悪い」と決めつけるのは早計です。最近のVCOREなどのモデルは、RA値が高めでも素材技術によって振動吸収を劇的に向上させています。
まずは、今の自分のラケットが「何番」なのかを知ることから始めてください。もし「もっと球持ちが欲しい」と感じているなら、次は今の数値から「マイナス3〜5」のモデルを試打してみる。この数値の旅こそが、テニスをより深く、楽しくするエッセンスなのです。
次の週末は、ぜひRA値を意識してショップの試打ラケットを手に取ってみてください。あなたのプレーが劇的に変わる一振りが、そこにあるはずです。


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