テニスラケットを選ぶ際、スペック表でつい見落としがちなのが「RA値」という項目です。重量やバランスは気にしても、「フレームの硬さ」が自分のテニスにどう影響するか、具体的にイメージできている人は少ないのではないでしょうか。
特にバボラの代名詞とも言えるピュアドライブは、このRA値が非常に高いことで知られています。「パワーはあるけれど、肘にくる」という噂の真相はどうなのか。実際に数世代のピュアドライブを使い倒してきた筆者の体験を交え、その正体を深掘りします。
テニスラケットの「RA値」とは?数値が持つ意味
RA値とは、ラケットのフレームに一定の負荷をかけた際の「変形しにくさ(剛性)」を数値化したものです。一般的にテニスラケットのRA値は60〜70程度に収まりますが、ピュアドライブは70を超える「高剛性ラケット」の代表格です。
- RA値が高い(70以上): フレームがしならず、ボールを強く弾き返す。パワー効率が良い。
- RA値が低い(60以下): フレームがしなり、ボールを包み込むようなホールド感が出る。
【実録】RA値70超えの世界。実際に打って感じた「驚き」と「代償」
私が初めてピュアドライブをコートで振ったとき、最も驚いたのは「自分の実力以上のボールが飛んでいく」感覚でした。
1. 弾きがもたらす「圧倒的なスピード感」
しなりが少ないということは、インパクトの瞬間にエネルギーが逃げないということです。ボレーでは当てるだけで深く返り、サーブでは「パチン!」という乾いた音と共に、これまでにない初速を記録しました。苦しい体勢から振り遅れたショットが、フレームの強さだけで相手コートの深い位置まで戻ったときは、このラケットの恩恵を痛烈に感じました。
2. 「硬い」という感覚の正体
巷で言われる「硬さ」ですが、これは金属のようなカチカチ感というよりは、インパクトの瞬間にボールとの接触時間が非常に短い、という感覚に近いです。一瞬でボールが離れていくため、自分でコースをコントロールしている感覚が希薄に感じる瞬間もありました。
3. 蓄積する「腕へのフィードバック」
正直に告白すると、週4ペースでガシガシ打ち合っていた時期、手首から肘にかけて独特の「張り」を感じるようになりました。高剛性ゆえに、ボールの衝撃がフレームで吸収されきらず、ダイレクトに腕に伝わってくるのです。特に冬場の硬いボールを打つ際は、その振動が顕著でした。
怪我のリスクを減らし、最高のパフォーマンスを引き出す対策
ピュアドライブのパワーは魅力的ですが、身体を壊しては意味がありません。実際に私が試して効果的だった、高いRA値と付き合うためのセッティングを紹介します。
- ガットを柔らかくする: 硬いフレームには、バボラ エクセルのような柔らかいナイロンマルチガットが相性抜群です。衝撃をガットで逃がすことで、快適な打球感に変わります。
- テンションを下げる: 「硬いラケットに高いテンション」は最も腕を痛める組み合わせです。あえて45ポンド前後まで落とすことで、ホールド感を補うことができます。
- 最新モデルへの乗り換え: 最新のピュアドライブ 2021などは、数値上のRA値は高くても、内部に振動吸収材を詰め込むことで、不快な衝撃を驚くほどカットしています。
結論:ピュアドライブはあなたの武器になるか
RA値が高いということは、ラケットが仕事をしてくれるということです。自分で無理に力を入れずとも、ラケットの反発力を信じてスイングできる人にとって、これほど頼もしい相棒はありません。
一方で、もしあなたが「自分の力でボールを潰して運びたい」というクラシックな感覚を求めるなら、少し戸惑うかもしれません。まずは一度、この「弾きの魔法」を体感してみてください。ただし、ガット選びだけは慎重に。身体を労りながら、バボラの技術の結晶を楽しみましょう。


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