かつて中国代表のレジェンド、傅海峰(フー・ハイファン)選手がその手に握り、世界を震撼させるスマッシュを叩き出したラケットがあります。それがLi-Ning N301(Turbo Charging N301)です。
発売から時間は経過していますが、中古市場や愛好家の間では今なお「これ以上の打球感はない」と囁かれる名作。今回は、実際にコートで数ヶ月使い込んだからこそ分かる、数値スペックだけでは見えない「生の使用感」を徹底的に深掘りします。
振り抜いた瞬間にわかる「Turbo Charging」の恩恵
Li-Ning N301をバッグから取り出し、最初に驚くのはそのフレーム形状です。台形のような特殊な断面を持つ「ターボチャージングテクノロジー」は、素振りの段階で「シュッ」という風切り音の鋭さが明らかに違います。
実際にシャトルを打ってみると、ヘッドヘビーモデルにありがちな「振り遅れ」が驚くほど少ないことに気づきます。ダブルスの速いドライブの応酬でも、ラケットが遅れずにスッと出てくる。この「重いのに速い」という矛盾した感覚こそが、Li-Ning N301が長年愛される最大の理由でしょう。
スマッシュの伸びが「あと一歩」を追い詰める
このラケットの真骨頂は、やはりフルスマッシュにあります。しっかりとしたシャフトの粘りがあり、インパクトの瞬間にシャトルをグッと押し込むようなホールド感があります。
私が使っていて最も感動したのは、コート奥からのストレートスマッシュです。軽いラケットでは球が浮いてしまいがちな場面でも、Li-Ning N301なら低く、そして相手の足元で「もう一伸び」する感覚があります。レシーブ側に回った練習相手からは「いつもより球が重くて、手元で食い込んでくる」という評価を何度ももらいました。
繊細なタッチショット:硬すぎないシャフトの妙
ハードヒッター向けのラケットは往々にしてシャフトがガチガチに硬く、ヘアピンやドロップが弾きすぎてしまうことがあります。しかし、Li-Ning N301のシャフトは「芯のあるしなやかさ」を持っています。
ネット際の繊細なコントロールでも、手に伝わる振動がマイルドなので、指先の感覚をシャトルに伝えやすい。パワー一辺倒ではなく、ゲームメイクを大切にするプレーヤーにとっても、非常に信頼のおける相棒になります。
あえて挙げる、ここが「手強い」ポイント
絶賛ばかりでは公平ではありません。数ヶ月間、このLi-Ning N301と向き合って感じた壁もあります。
- 体力の消耗: 振り抜きが良いとはいえ、本質はヘッドヘビー。試合後半、足が止まってくると、ラケットの重さを腕だけでカバーしようとしてミスが出やすくなります。
- スイートスポットのシビアさ: 最新のワイドボディモデルと比較すると、芯を外した時の失速はやや顕著です。常に正確なインパクトを求められる、いわば「使い手を育てるラケット」だと言えます。
結論:Li-Ning N301はどんな人におすすめか?
もしあなたが、単に「軽いラケットで楽に飛ばしたい」と考えているなら、他の最新モデルを選んだほうが幸せになれるかもしれません。
しかし、
- 自分の力でシャトルを潰すような感覚を味わいたい
- ダブルスで後衛から決定打を叩き込みたい
- 道具としての完成度、所有欲を満たしてくれる名機を探している
これらに当てはまるなら、Li-Ning N301は最高の選択肢になります。現行のLi-Ning製品の礎となったこの打球感は、一度味わうと病みつきになる魔力を持っています。
今、この名機を手に入れるチャンスがあるのなら、迷わずその感触を確かめてみてください。コート上で放たれる鋭い弾道が、あなたのバドミントンを一段上のステージへ引き上げてくれるはずです。


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