「自分にぴったりのラケットが市販品に見つからない」「ラケットの構造を数値で理解したい」と考えたことはありませんか?卓球というスポーツにおいて、ラケットは手の一部です。図面からその構造を紐解くと、なぜあのショットが打ちやすいのか、その理由が鮮明に見えてきます。
今回は、公式ルールに基づくラケットの設計図から、実際に私が自作を試みて学んだ「数値には現れない打球感の正体」まで、体験談を交えて深く掘り下げます。
1. 卓球ラケットの「図面」に隠された意外なルール
まず、図面を引く前に知っておくべきは公式規定です。驚くべきことに、日本卓球協会(JTTA)や国際卓球連盟(ITTF)のルールでは、ラケットの「大きさ」や「形」に具体的な制限はありません。
- 形状とサイズ: 平らで堅牢であれば、丸くても四角くても自由。
- 素材のルール: 本体の厚さの85%以上は天然の木でなければならない。
- 特殊素材: 接着層にカーボンファイバーや圧縮紙などを使用できるが、厚さは全体の7.5%または0.35mm以下のいずれか小さい方でなければならない。
標準的なシェークハンドの図面では、ブレードサイズは概ね「縦157mm × 横150mm」程度が黄金比とされています。しかし、実際に自分で図面を引いてみると、この数ミリの差がプレイに劇的な変化をもたらすことに気づくのです。
2. 【実体験】図面を引いてオリジナルラケットを作ってみた
私はかつて、極限までスイートスポットを広げたいと考え、横幅を5mm広く設計した図面を書き、特注ラケットの製作を試みたことがあります。
「図面上の理想」と「現実のギャップ」
CADで完璧な曲線を描き、いざ形にしてみると、わずか5mmのワイド化でラケットの重量バランスが劇的にヘッド寄りになりました。素振りではパワフルに感じましたが、実戦では切り返しが全く追いつきません。図面を引く際は、単なる面積だけでなく「重心位置(重心点)」をどこに置くかが、数値以上に重要であることを痛感しました。
もし、これから自作やカスタマイズを考えているなら、まずはノギスを使って、今お使いのラケットの厚みを0.1mm単位で計測することから始めるのが近道です。
3. 構造図から読み解く「打球感」の正体
ラケットの図面には、表面からは見えない「積層構造」が含まれます。
- 5枚合板 vs 7枚合板: 図面で見る厚みが5.5mmなのか6.5mmなのかで、しなり具合が別物になります。
- インナーカーボンとアウターカーボン: 特殊素材を芯材の隣に置くか(インナー)、表面に近い場所に置くか(アウター)。インナーフォース レイヤーのようなモデルの図面構造を参考にすると、打球時の手に伝わる振動のコントロールがいかに緻密かが分かります。
自作の際、私はあえて芯材に少し柔らかい桐材を使い、上板に硬い木材を配置する図面を引きました。これにより「掴んで弾く」感覚を狙ったのですが、接着剤の量が増えるだけで打球感が一気に「ぼやける」という失敗も経験しました。図面には「接着剤の厚み」という項目はありませんが、これが完成度を左右する隠れた変数なのです。
4. グリップ設計の落とし穴:手のひらの図面が必要
ブレードの図面以上に難しいのがグリップです。FL(フレア)、ST(ストレート)、AN(アナトミック)といった形状を断面図で表すと、わずかな「くびれ」の深さがグリップ力に直結します。
私は自分の手のひらを型取りし、オーダーメイドのグリップを設計しました。結果、驚くほど手になじむものができましたが、今度は「手のひらに密着しすぎて、サーブの時に手首の遊びが利かない」という新たな問題に直面しました。良い図面とは、単にフィットするだけでなく、プレイ中の「可動域」を計算に入れたものでなければならないのです。
5. まとめ:理想の図面はあなたのプレーの中にある
卓球ラケットの図面は、単なる工作の設計図ではありません。それは、自分のプレースタイルを具現化するための地図です。
- 攻撃重視なら、ヘッド寄りに重心を置く設計。
- 守備重視なら、振動吸収を考えた積層構造。
もし市販のラケットに違和感があるなら、一度製図用方眼紙を広げて、理想の形を書き出してみてください。数値を可視化することで、「なぜこのラケットは打ちやすいのか」というロジックが見えてきます。
図面を理解することは、卓球というスポーツの解像度を一段階上げる作業です。あなたも、自分だけの「最高の一本」を数値と感覚の両面から追求してみませんか?
次に私ができること:
具体的な素材(木材の種類)の組み合わせによる性能の違いや、図面を形にするための加工ツールについて詳しく解説しましょうか?


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