テニスコートを見渡せば必ずと言っていいほど目にする「W」のロゴ。ウィルソンのラケットは、プロから初心者まで幅広い層に愛されていますが、いざ自分で選ぶとなると「種類が多すぎてどれが合うのかわからない」という贅沢な悩みに直面します。
筆者自身、これまで数多くのラケットを使い込んできましたが、ウィルソンの魅力は「シリーズごとのキャラクターが恐ろしいほど明確」な点にあります。今回は、最新モデルの試打体験を交えながら、それぞれのシリーズが実際にどのような「打ち心地」をもたらすのか、忖度なしのリアルな感覚をお伝えします。
1. 究極の「意志」を伝える:PRO STAFFシリーズ
「テニスを極めるなら、一度はプロスタッフを通るべきだ」
そんな格言が聞こえてきそうなほど、Wilson PRO STAFF 97は特別な存在です。実際に手に取ってみると、まず感じるのはその「重厚な安定感」。
ストロークを放つ際、最近のラケットにありがちな「勝手に飛んでいく感覚」は一切ありません。自分が振った分だけ、狙ったスポットへ寸分違わずボールが吸い込まれていく快感。芯を食った時の「パチン!」という乾いた打球音は、他のどのラケットでも味わえない中毒性があります。ただし、オフセンターで当てた時のシビアさも天下一品。自分の技術不足を突きつけられる、まさに「コーチ」のようなラケットです。
2. 現代テニスの正解:BLADEシリーズ
今、競技者に最も選ばれているのがWilson BLADE 98ではないでしょうか。
最新のv9シリーズを打ってみて驚いたのは、その「しなやかさ」と「パワー」の絶妙なバランスです。インパクトの瞬間にラケットがボールをグニュッと掴むようなホールド感があり、そこから一気にスイングスピードに比例して弾き出される感覚。
特にバックハンドの際、ラケットが面ブレせずにボールを押し込んでくれるため、コースの打ち分けが非常に楽に感じました。ハードヒットしてもコート内に収まる安心感があるため、どんどん振っていきたいアグレッシブなプレーヤーにはこれ以上の選択肢はありません。
3. ボレーが魔法のように決まる:ULTRAシリーズ
ダブルスをメインにする方や、パワー不足に悩む方に「これを使っておけば間違いない」とおすすめしたいのがWilson ULTRA 100です。
黄金スペックの代表格ですが、実際にボレーをしてみるとその凄さがわかります。相手の速い突き球に対しても、面を合わせるだけでスッとボールが返っていく。面安定性が極めて高く、インパクト時に手が負ける感覚がほとんどありません。
ストロークでも、少ない力で深いボールが打てるため、試合後半に体力が削られてきた場面で何度も助けられました。「楽に、かつ力強く」を体現した、最も効率的な武器と言えるでしょう。
4. 身体に優しく、常識を覆す:CLASHシリーズ
初めてWilson CLASH 100を打った時の衝撃は忘れられません。
ウッドラケットのような「しなり」があるのに、打球後の復元が速いため、ボールが驚くほど飛びます。何より、腕に伝わる振動が極限まで抑えられているのが素晴らしい。
筆者が肩を痛めていた時期にこのラケットを使用しましたが、2時間の激しい練習後も関節への負担が明らかに少なかったです。「テニス肘に悩んでいるけれど、競技性能も捨てたくない」という方にとって、これ以外の選択肢は考えられません。
5. スピンの常識が変わる:SHIFTシリーズ
最新シリーズであるWilson SHIFT 99は、縦方向へのしなりを追求した新しいコンセプト。
実際に打ってみると、スピンのかかり方が非常に独特です。普通に打っているつもりでも、相手コートのベースライン際でボールが急激に沈む。「え、今の入るの?」というショットが何度も入り、対戦相手からは「ボールが伸びてくる」という評価を多くもらいました。
まとめ:あなたの「一歩先」を照らす1本を
ウィルソンのラケット選びで大切なのは、「今の自分」に合わせるか、「なりたい自分」に合わせるかです。
- 精密なコントロールを追求し、自分を追い込みたいなら:PRO STAFF
- 攻守のバランスを高い次元でまとめたいなら:BLADE
- ダブルスでネット際を支配し、パワーを補いたいなら:ULTRA
- 肘や肩を労わりつつ、新しい打球感を求めるなら:CLASH
- スピンで相手を圧倒し、コートにねじ込みたいなら:SHIFT
どのシリーズを選んでも、ウィルソンが長年培ってきた「プレイヤー第一主義」の哲学を感じることができるはずです。迷ったなら、まずは気になるモデルのWilson Tennis Racketを手に、コートへ飛び出してみてください。その一振りが、あなたのテニスライフを大きく変えるきっかけになるかもしれません。


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