新潟県長岡市の静かな山あいに位置する「塚山」。一見すると、どこにでもある日本の原風景ですが、ここは世界中のアスリートが愛用するブランド「ヨネックス」が産声を上げた、まさに「聖地」です。今回は、ブランドの歴史を肌で感じる創業の地巡りと、2024年に本格稼働した驚愕の最新研究施設について、五感をフルに使った体験記をお届けします。
塚山駅に降り立った瞬間、ヨネックスの「呼吸」が聞こえる
JR信越本線の塚山駅。無人駅のホームに降り立つと、そこには都会の喧騒とは無縁の、清らかな空気と鳥の声が広がっています。駅を出てすぐ、目に飛び込んでくるのはお馴染みのヨネックスロゴ。ここが、かつて米山稔氏がわずか1台の木工用旋盤から「米山木工所」を立ち上げた場所なのだと思うと、胸に迫るものがあります。
創業当時は、漁業用の木製浮きを製造していたそうです。その後、時代の変化に合わせてバドミントンラケットの製造へ転換。現在ではヨネックス バドミントンラケットとして世界を席巻していますが、その精密な「ものづくり」の根底には、ここ塚山で培われた、粘り強く妥協を許さない職人魂が今も息づいています。
最新施設「YPIC」で目撃した、スポーツの未来
塚山の風景の中で異彩を放っているのが、2024年にオープンした「Yonex Performance Innovation Center(YPIC)」です。のどかな田園風景を背景に、ガラス張りのモダンな建築がそびえ立つ光景は、まさに「伝統と革新の融合」。
実際に施設周辺を歩くと、最新のヨネックス テニスラケットを手に、世界中のあらゆるコート条件を再現した「4種類のサーフェス」でテストを繰り返すスタッフの姿が見えることも。ここでは、ハイスピードカメラや精密センサーを駆使し、選手のミリ単位の動きをデータ化しています。
驚いたのは、その徹底ぶりです。全豪や全仏など、グランドスラムの会場と同じ土や芝を再現したコートが、この新潟の山奥にあるという事実。ここで磨き上げられたヨネックス テニスシューズを履いてトッププロが戦っていると思うと、ファンとしては堪らない興奮を覚えます。
聖地巡礼で感じた「クラフトマンシップ」の正体
塚山周辺の長岡工場エリアを散策していると、巨大なラケットのオブジェに出会います。記念撮影スポットとしても人気ですが、そこから感じるのは、単なる企業の宣伝を超えた「地域との絆」です。
地元の商店で話を聞くと、「ここはヨネックスの町だから」と誇らしげに語る方が多いのが印象的でした。かつてヨネックス スポーツウェアを身に纏ってプレーしたかつての少年たちが、今は工場で最高の一本を作っている。そんなストーリーが、塚山には溢れています。
実際にヨネックス グリップテープ一つ手に取ってみても、この場所を知った後では、その質感や吸い付くような感覚が、ただの工業製品ではなく「塚山の情熱の結晶」のように感じられるから不思議です。
結びに:なぜ今、塚山に行くべきなのか
ネットで何でも買える時代だからこそ、その製品が「どこで、どんな想いで生まれたのか」を知る体験には、何物にも代えがたい価値があります。
塚山は、ヨネックスというブランドが持つ「誠実さ」と「進化への渇望」が同居する特別な場所です。次にヨネックス シャトルを打ち込むとき、あるいはヨネックス ソフトテニスラケットを振るとき、あなたの脳裏には、あの静かで、それでいて熱い情熱に満ちた塚山の景色が浮かぶはずです。
スポーツを愛するすべての人に、この「始まりの地」を訪れ、その風を感じてほしいと心から願っています。


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